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November 06, 2020

HEMMI No.201 20"両面超精密用

Dvc00788  いただきものの未開封新品HEMMI No.201です。このNo.201は超精密計算尺の部類に入る20インチ計算尺ですが、発売されたのが昭和40年代も中頃にさしかかる時期になってからということもあり、製造された数も期間も非常に短かったらしくかなり貴重な計算尺です。さらにそれがまったくの未開封新品となりますとおいそれと開封するわけにもいきません。日中戦争から太平洋戦争にかけて兵器や軍需品の設計が盛んになるにつれて10インチ計算尺よりもさらに精密な計算尺の必要性が高まり、HEMMIから発売されたのが超精密計算尺のNo.200でした。このNo.200はC,D,尺のみ16インチの長さの目盛りを6分割して両面に配置したものでその基線長は96‌インチとわずかに4インチの差で100インチに足りません。なぜ100インチにしなかったというのが不思議な感じですが、20インチ尺を5本並べる計算尺の本体を作れないというような特別な事情でもあったのでしょうか?

Hemmi201 それに比べてこのNo.201は目盛1本の長さは20インチながら基線長が80インチと16インチも短くなり4分割に減ったかわりにC,D,尺に加えてL,A,K尺が加わり、利便性が高まったものです。単純に96インチの基線長が100インチになったのかと思っていたのですが、実際にはやや精度が落ちた代わりL尺A尺K尺が加わったりしたリニューアルではなくまったくの別物計算尺ということがわかりました。というのもNo.200は20インチの両面計算尺No.275DやNo.279Dなどと比較すると、ベースボディがやや短いワンオフの専用サイズで、それだけ別に追加生産するのが大変だったのか、コストダウンのため20インチ計算尺のボディを統一するために出来上がったものがこのNo.201なのでしょう。しかし、発売された時代が悪く、ちょうど電卓などが台頭してきた時期に重なったため、もしかしたら唯一ワンロットくらいしか製造されなくて、それがずっと流通在庫として残っていたかもしれません。まだ探せばどこかの廃業寸前の地方文房具店の奥に在庫として残っているところもあるのでしょうか?一時期ほどではないにしろ未開封新品でオークションに出品されたらさぞかし高額の落札金額になるでしょう。ちなみにこのHEMMI No.201は中古品でも概ね10万円前後。2年前に発掘された未開封新品は25万5千円以上で落札されています。発売当時の定価は何と14,000円もしました。
 このNo.201は計算尺競技会の北海道地方大会優勝賞品として獲得したものだそうです。優勝した事実のほうが嬉しくてまったくこの商品には興味がなく、50年近くそのままになっていたというもの。そんなものを当方が開封するわけにもいかなく、そのまま資料として保管せざるを得ませんでした。
 これを見せられたときには思わず「おお、何とNo.201ですか」と声が出てしまったことを正直に告白します(笑)
 デートコードは「PJ」で昭和40年10月製造のベースボディを使用したものです。説明書のデートコードは6801Yでした。ちなみにうちにある同じベースボディのHEMMI No.275Dのデートコードは「QE」で昭和41年5月。20インチの両面で紺帯箱ケースのものはだいたいこの時期に集中して仕込みをされたものなのでしょうか。

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