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December 24, 2020

HEMMI No.2664S SPECIAL

 HEMMIの永遠のスタンダード片面計算尺のNo.2664SにDI尺が加わり、A尺を上固定尺のK尺の下に移動させたレイアウトの片面計算尺がNo.2664S-Sです。もともとNo.2664にグリーンのCIF尺を追加したため、別製No.2664という意味合いでSPECIALのSの意味合いだったはずなのですがNo.2664S-Sは発売当初の初期型のみNo.2664S SPECIAL名で発売されていますので、No.2664S-SはNo.2664に対してNo.2664SPECIAL-SPECIALの二重のSPECIALが被ってしまうためか、いつのまにかNo.2664S SPECIALを止めてNo.2664S-Sにネームチェンジしたようです。このNo.2664S-SはオリジナルのNo.2664Sと比較すると圧倒的に少なかったようで、オークション上に登場する点数からするとNo.2664Sが30本あったら1本出てくるようなそれくらいの数の違いがあるような感じですが、果たして生産数はどれくらいの違いがあるのでしょうか?特筆されるのはNo.2664S-SはHEMMIと内田洋行の商標KENTのダブルネームの物が存在し、このKENTとのダブルネームはこのNo.2664S-SとNo.254WNの2種類しか知られていません。No.2664S-Sの年代による差異というのはNo.2664Sとまったく同じで、ケースは登場時の緑貼り箱ラージロゴ、緑帯貼り箱、青蓋ポリエチレンケースの3種類。換算表が2パターン。下固定尺側面がフルスケールのセンチもしくはインチ目盛、0-13-0の目盛と無地の3パターン。形式名は裏面中央から表面下固定尺右に移動などです。
 このNo.2664S-SにDI尺が加わった理由ですが、RelayやRicohのNo.116と異なり、滑尺裏の三角関数が逆尺になっているため、表面のD尺で直読出来るのでNo.116には必要でもNo.2664S-Sには不要なのです。ただ、連続計算のための利便性のためのDI尺追加で、それは昭和36年辺りから急に全国的に盛んになった計算尺競技会に対する競技用用途というのが大きいような気がします。その競技用計算尺の流れというのは、時代とともにNo.651からNo.640Sを経てNo.641に至りますが、ある程度No.2664S系で計算尺競技に慣れてしまうとかえって新しいタイプの計算尺に変えることはできなくともNo.2664S-Sだったら大丈夫だろうなという感じもします。個人的にはA尺がK尺の下に来たNo.2664S-SのほうがNo.2664Sより直感的に取り扱えるような気がします。
 そのNo.2664S-Sはかなり長い間専用の説明書がなく、No.2664Sの説明書に補足説明のペラが一枚加えられた状態でしたが、後にNo.2664SSのタイトルで専用説明書が出来ています。
 今回のNo.2664S SPECIAL刻印のNo.2664S-Sは緑箱時代だけに存在し、さほど珍しいものではないものの絶対数が少ないからか、のちの緑帯時代のNo.2664S-Sや青蓋ポリエチレンケースのNo.2664S-Sと、比べると極端に数が少ない印象です。形式名が表面に移った緑帯箱時代のものが製造の期間としては長かったからか数が多い印象ですが、意外に青蓋ポリエチレンケースのものも数が多く、これは昭和47年新学期の高校入学に合わせて購入させられたという話がけっこうあるので、学校用需要というところが大きいのでしょう。KENTダブルネームのNo.2664S-Sは「高校生用」というラベルがあったような。
 ところで当方は裏側にNo.2664S SPECIALではなくNo.2664S-S刻印のものにはいまだお目にかかったことがないのですが、もしそのようなものが存在するのであれば、それこそレアモノなのかもしれません。
 今回入手した緑箱のNo.2664S SPECIALは神奈川の箱根町から入手したもので送料込み1.2k円でした。デートコードは「MA」ですから昭和37年の1月製。前年のデートコード「L」のものを確認していますので、その頃に製造・仕込みされたものが最初期にあたるもののようです。

 ところで、KENTとのダブルネームのNo.2664S-SとNo.254WNの2種がなぜ存在したかの問題ですが、確信はないものの内田洋行扱いでこの2種類だけ理科教育振興法の指定機種として登録されていたのではないかと推測しています。理科教育振興法というのは戦後の昭和28年に制定された法律で、理科数学の教育を後押しして国家の産業基盤をささえる人材を育むために各学校に理科数学教具実験器具備品などの購入予算を振り分けたものです。その購入備品は理科教育振興法の指定商品であればその購入はある程度各学校の裁量で決められることになっており、けっこう年に一度くらいしか使わない顕微鏡や昼間の授業中は使わない天体望遠鏡などが理科準備室にホコリを被っているような例はよくありました(笑) 顕微鏡なども光学会社のブランドではなくKENTブランドで入っていましたので、そういう理振法のからみで数学教具としてまとまった数量を学校の備品として納入する指定機種にKENTのブランドを刻んだのかもしれません。KENTブランドの計算尺は市販されてはおらず、個人持ちの計算尺と区別するためのダブルネームだったのかもしれません。そう考えるのが合理的なような気がします。

追記:No.2664Sの製造年代別解析をしていて改めて気がついたことなのですが、このNo.2664S SPECIALとNo.2664S-Sは滑尺裏の三角関数目盛(TI2,TI1,SI)の細密度に相違があります。それはこの時代のNo.2664S,No,2662,No.2664S-Sの緑帯箱ものに共通する仕様変更です。

 

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