HEMMI No.43A 8"学生用
HEMMIの8インチ学生用計算尺のNo.43Aですが、この珍しくもない8インチ学生尺がいままでなぜ取り上げていなかったかというと、同じ尺度で近代的なプラ尺のNo.43Sをすでに所持していたことと、これだけを目的に送料まで掛けて落札する気にならなかったからです。他の8インチ学生尺もそうですが、10把からげで入手したもののなかにたまたま紛れ込んでいたということでなければ自分の意志では購入しない計算尺の一つでした。今回入手したのは10把ではないものの4本まとめての購入の中に紛れ込んでいたものです。
この竹製ニス塗り8インチ学生尺はかなり以前から山梨に製造委託に出ていたようです。というのも昭和30年代の初期から中期に掛けての団塊世代の大量進学にあたり、とてもHEMMIの生産ラインだけではその需要をすべて満たすことは出来ず、当然のこと他社のアウトソーシングが必要となったことだと考えていますが、もしかしたらHEMMI本工場では10インチの片面尺両面尺をメインに製造し、学生尺やプラスチックのポケット尺などは当初から山梨に製造させていたのかもしれません。
このNo.43Aは√10切断のNo.45Kなどと違ってどうも教科書準拠の計算尺と異なるためか、No.45Kと比べると製造数はかなり少なめのような気がします。それでもプラ尺化してもNo.43Sとして作り続けられたわけですから、教える先生によってはこのK尺付きポリフェーズドマンハイム尺じゃないといけないとでも言うような信者がいたのでしょうか。尺度は表面がA,[B,CI,C,]D,K,の6尺、滑尺裏がT,L,S,の3尺の合計9尺です。
どちらにしても授業で数回使用しただけで放り出された類の計算尺のようで、中のビニール袋もちゃんと残っていたきれいな計算尺でした。デートコードは「QB」ですから昭和41年2月の製造。これがプラ尺化してNo.43Sになったのは知る限りではデートコード「T」の昭和44年製造分からのようです。ケースは緑帯の貼箱入りでした。
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