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May 10, 2021

Kenko 7x18mmミクロンタイプ双眼鏡(東亜光学)

 Dscf4229 ミクロン型双眼鏡の元祖は戦前日本光学の6x15mmですが、この双眼鏡はオペラグラスほどの大きさながら視野角や倍率などもオペラグラスの比ではなく、戦前戦後を通じて貴重な外貨獲得手段となりました。しかし、戦後は7x50mm7.1°のノバー型同様に日本光学の設計を元に色々な会社が製造に参画し、板橋双眼鏡生産の拡大に貢献するとともに、本来はポケットに入るほどの小型双眼鏡であることからミクロン型だったはずなのに口径や倍率なども年々拡大して後には口径50mmで18倍というような大型のものまで登場するようになりました。
 しかし、このミクロン型の双眼鏡も円の変動相場制後の円高とオイルショックにおける材料費高騰による板橋輸出双眼鏡の業者淘汰により衰退し、昭和の末期にミクロン型専業の栃原オプチカル製作所の製造撤退とともに日本での製造は途絶えました。だた、今世紀に入ってからニコンが6x15mmのミクロンタイプを限定生産したことがありましたが、そのころはカメラのS3やSPの再生産で大いに話題をさらったニコンも2021年に国内でのカメラ生産を終了させるとのこと。そりゃ今や半導体露光装置のほうが売上が大きいでしょうし。
 久々に入手したkenkoのミクロンタイプ7x18mmですが、これは以前入手した東亜光学Cometの7x18mmと同倍率です。ただ、以前のものが昭和30年代製造と推定されるミクロンタイプの双眼鏡で、鏡筒なども真鍮を削り出したものにメッキを掛けてある作りで、かなりのコストが掛かっていることが伺われました。さすがは1ドル360円時代の双眼鏡で、コストダウンの気配は微塵もありません。それに比べて今回のKenko7x18mmミクロンタイプは鏡胴が軽合金の引き抜きにメッキを掛けたもので、プリスムのカバーなどの軽合金プレスにメッキを掛けたもの。全体的にコストダウンが明らかでそのため妙に軽く、東亜光学Comet7x18mmが重量250gもあるのに対してこちらの方は190gしかありません。まあ、見え方自体は差がさるわけではないのですが、30年代生産ものがある意味見事に手間が掛けられているのにそれを知ってしまうとこちらの方は少々情けなく思えてくるのです。ビクセンの斎藤氏の言葉を借りれば「ミクロン型生産継続のための涙ぐましい努力」なのだそうですが、「金属の軍艦部だとばかり思っていたカメラが実はプラスチックにメッキを掛けていた軍艦部だった」並のがっかり度は否定できません。フォーカシングは対物レンズ側を動かして焦点調整するニコンタイプで、本体に製造メーカーを表す刻印も見当たらなかったため、栃原オプチカルのOEM製造でKenkoの名前が付けられたものだとばかり思っていたのですが、今回再度虱潰しに観察すると、鏡筒根本の黒い部分JAPAN刻印の上にうっすらと「J-B001」のメーカー刻印があり、なんと栃原のOEMではなく前回と同じ東亜光学のものであることはわかりました。東亜光学でもかなり後までミクロン型の製造が続いていたことがわかりました。現在の東亜光学は双眼鏡からは撤退して久しく、医療光学機器関連部品の製造にシフトしているようです。


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May 08, 2021

中一コース・中一時代付録の計算尺(紙製5インチ)

 旺文社の中一時代新年号と学研の中一コース新年号付録の計算尺です。中1コースのものは昭和37年新年号のもので、中一時代は昭和40年新年号もの。尺度記号の書体に若干差があるものの(学研のほうはCIがC1の誤植になっている)実質的には同一の紙製逆尺付き5インチマンハイムタイプの計算尺です。こういう紙製の付録は後世に残るものではなく、本物の計算尺を購入した時点で打ち捨てられてしまうため、内容的にはチープな計算尺ですがかなりのレア物です。ちなみに昭和40年代に入ってからのこれらの付録計算尺は同じく紙製ながら√10切断のずらし尺をそなえ、HEMMIの名前が入ったものもあります。この逆尺付きマンハイムタイプは昭和40年代初期までのものなのでしょう。別途中一時代昭和43年2月号に付録として入っていた「計算尺使い方ハンドブック」という説明書があり、こちらはすでにずらし尺の操作の説明になっています。
 ところで、当方の世代でも年間購読特典の万年筆目当てに中一コースか中一時代を書店に予約するというのは当たり前の時代で、当時は出入りの書店の配達員がボテ箱乗せた自転車で届けに来てくれてました。そして月末に他の雑誌などと一緒にまとめて集金に来てくれるというシステムだったのです。小学校のときには6年の科学と学習(これは書店扱いではなかった)の両方を購読していたのですが、中学に入ってからは旺文社の中一時代のほうを年間購読し、予約特典の「帝金の万年筆」をもらいました。学研の中一コースの万年筆はどこのメーカーのものだったのかは記憶にありません。この年間予約特典は時代とともにラジオになったりカメラだったりデジタル時計などというものもあったようですが。しかし当方の世代には(昭和47年入学)すでに新年号にも計算尺の付録はありませんでしたし、小学校5年6年と2年間は学研の科学も学習も両方購読していた当方の記憶では前年昭和46年度の6年の学習にも計算尺はありませんでした。ちょうど当方の世代が学習雑誌からも計算尺が消えた境目の学年なのかもしれません。
そういえば我々が中学に上がる当時はこの手の学習雑誌や参考書のコマーシャルなどというのはテレビのチャンネルを捻れば(ここだけでも世代がわかりますが…)いつでも頻繁にあったものですが、少子化の進行により平成に入った頃に中学生以上の学年別学習雑誌は次々に廃刊になったようで、学習参考書専門の出版社も今は殆ど残っていない状態です。TVコマーシャルといえば、今や家庭教師派遣のトライや進学塾のCMばかり(笑)
 参考までに√10ずらし尺に変わった中1時代計算尺取説画像も貼っておきます。

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May 02, 2021

TAIYO 油圧/空気圧計算尺

Photo_20210502132801  油圧、空気圧シリンダーの中堅メーカーだった太陽鉄工の油圧・空気圧計算尺です。大阪で昭和8年創業の太陽鉄工はバブル崩壊時の金融引締の煽りを食って債務超過に陥り、一度会社更生法の適用を申請し倒産。86億円の債務を38%に圧縮して15年で債務を返済する再建計画を立てたものの、なんと4年半で債務を返済して会社更生手続きを終了し、その後東証2部に上場するという会社更生のお手本のような回復ぶりをした企業だったのですが、そこに目をつけた外資のパーカーハネフィンと当初は業務提携を締結し、後にTOBで株式を取得され、現在は米国パーカーハネフィンの完全子会社になっています。その親会社は古くから航空機の部品を製造しており油圧アクチュエーターなどをロッキードやボーイングに供給しているというお話。その太陽鉄工がおそらく昭和50年代くらいにリリースしたのがこの油圧・空気圧計算尺です。2つ折りのケースの中に説明書と本体が収められているというなかなかの優れものですが、本体はカードタイプのスライドチャートにカーソルが付いたという簡易的なものです。計算尺としては少々頼りない感があり、ケースから出た裸の状態ではおそらく惜しげもなく捨てられてしまって残存しないことで、逆に希少性があるようで、15年ほどでオークション上に上がったのがおそらくは5本以下。大抵は何本かのセットの中にあるような出品のされかたをしていますが、何年か前に単独で出品されたとき、確か25k円くらいの落札金額がついたことがありました。計算できる項目は説明書によると油圧関連が1.ピストン受圧面積の算出 2.シリンダー力の算出 3. シリンダー内径の算出 4. 作動圧力の算出 5.シリンダー容積の算出 6. シリンダー作動に対する必要油量(ポンプ吐出量)の算出 7. シリンダー速度の算出 8. 電動機出力の算出 9. 配管内径の算出 10. 管内径における流量の算出 11. アキュムレータの容量計算 とあり、空気圧関連が 1. ピストン受圧面積の算出 2.シリンダー力の算出 3. シリンダー内径の算出 4. 作動圧力の算出 5. シリンダー容量の算出 6. 消費空気量の算出 7. コンプレッサ出力の算出とあります。同様の計算尺は油圧関係としてHEMMIで製作された不二越の油圧計算尺があり、けっこう数も多く出回っているのですが、太陽鉄工は油圧と空気圧のシリンダー双方とも製造している関係で双方の項目を一本に納めなければいけないため、このような計算尺になってしまったのでしょう。通常の計算尺と違い基線長何インチの計算尺と分類できませんがおおむね5インチ計算尺相当で、全長19cm、幅6.6cmの幅広計算尺です。製造はHEMMIでないことは確かなのですが正確な製造元は不明。売価2000円とありました。入手先は兵庫県の明石市からです。

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