November 29, 2018

SUPER ZENITH 8x30mm 7.5°Z型双眼鏡(東栄光学?)

Dvc00322 ZENITHという双眼鏡は、もともとはフランスだったかイギリスにその名前のつく双眼鏡があったらしいのですが、どうも戦前か戦後すぐに日本でその名前をパクった双眼鏡が現れていたようです。戦後は一貫して輸出用の双眼鏡の商標だったようですが、その商標を持っていたところが輸出商社だったのか、それともどこかの製造メーカーだったのか判然としません。後にSUPER ZENITHの商標を有する双眼鏡も出て来ましたが、これはどこかの中核光学メーカーを中心としたグループのパブリックドメイン的な商標ではないかと想像してますが、そのグループ名が東京光学機器製造組合だったか輸出双眼鏡製造組合だったか詳しいことはよく知りませんが一応は協同組合的な名称を名乗っていたのではないかと思います。
 その中でもいち早くプラスチック鏡体のSUPER ZENITHにLIGHT WEIGHTのロゴを付けて国内外に大量に売っていたのがどうも埼玉県鳩ケ谷に工場を構えていたJB4の東栄光学のようです。この東栄光学という会社は対物レンズや接眼レンズをプラスチックのセルに歯車型の樹脂環を使用して高周波溶着するという技術で特許を取っており、類似の手法を使用した同業数社に対して特許権侵害でそれぞれ500万円の損害賠償を請求して民事訴訟を起こしたいわゆる東栄光学樹脂環訴訟の原告で、この特許が切れる迄はこのプラ製Zタイプ双眼鏡をほぼ独占的に製造していたようです。しかし、この特許が切れてからは中国製の類似プラ製双眼鏡が日本にも押し寄せ、現在望遠鏡工業界のメンバーには東栄光学名前はありません。訴えられた一社の鎌倉光機はいまだに世界各国の有名メーカーのOEMで盛業中なのですから皮肉な物です。
Dvc00321 そのおそらくは東栄光学製SUPER ZENITHの20x50mmZ型を持っていますが、件の樹脂環接着のおかげて接眼レンズが分解できないもののその構成はプラレンズを使用した2群2枚のラムスデンでした。レンズの張り合わせがないだけその分コストダウン出来ますが、そこまでするかという感じです。アメリカでの評判も「Toy Binoculars」的な指摘が多かったような。
 そのSUPER ZENITHですが、プラスチック化する以前の昭和40年代後半くらいまでのものは所々コストダウンされている安物的な部分はありますがそれでも割とまじめに作られている双眼鏡です。東栄光学以外にもいろんなところで製造されていたようで、昭和44年以前のいわゆる輸出双眼鏡血統制度時代にはいろいろなメーカーコ−ドが見受けられるようです。例としてはJ-B206の藤田光機、J-B256の新星光学を確認しています。
 それで4台まとめて落札した双眼鏡の中で3台のケンコーはそれぞれ1円だったのですが、こいつだけ10円で入札した主がいて結局は11円落札でした。それでも4台まとめて14円ですから文句はいえません。SUPER ZENITHとしては至極まともな双眼鏡で、プリズムも全面モノコートされていました。さほど内部も黴びたり曇ったりということもなく、オーバーホールは楽でしたが、プリズムポケットがぴたり決まるというわけではなく、やや調整に手間取った個体です。プリズムの固定は透明グルーでしたからおそらくは昭和40年代後半の製品として間違いないでしょう。そしていろいろ分解して行き気がついた事は、本来JBナンバーが打たれているところにOmcのようなマークが入っている事。また右側視度調整リングにディオブターの目盛や数字が無く+-で済ませている、という共通点のある双眼鏡は一つ思い当たりました。それはHUNTERの双眼鏡GOLDというやつで、このHUNTER GOLD 50mmというやつは接眼レンズが樹脂レンズで構成がラムスデンというのは後のSUPER ZENITHのプラ双眼鏡に共通します。またプラのSUPER ZENITHの視度調整環にも+-の表示しかないなどこの8X30mmのSUPER ZENITHを通じてHUNTERからプラスチックSUPER ZENITHまですべてつながっていくような気がします。確たる証拠はありませんが、もしかしたらこれはらすべて東栄光学の製品でしょうか?またプラ製SUPER ZENITHの12x50mmのケースにLENS CLUB HUNTERと印刷されたセミハードケースが付属していたのを見た事があります。本来ならば黒の無印もしくはSUPER ZENITHと印刷されたケースでなければいけないところ、員数合わせでHUNTERのケースを付けてしまうことが出来るのは両者が同じ会社で作られたことを暗に物語っているのではないでしょうか。
 このSUPER ZENITHの8x30mm 7.5°は双眼鏡としてはけっこうまともなほうで、コントラストは不満があるものの解像力は悪くありません。ただやや線が太めに見える事と周辺部の収差がやや気になるくらいです。内部の反射防止処置を丁寧に施せばそこそこ使える双眼鏡になりそうで、その面ではカスタムベースに最適などという評価。なにせ世の中に沢山ありますから(笑)


| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 26, 2018

Kenko Skymate 8x30mm 7.5°Z型双眼鏡

Dvc00324 3台のKenko 8x30mm 7.5°のZ型双眼鏡の一台で、こちらはSkymateという機種名が付いています。おおよそ昭和40年代の後半の製品らしく、すでにJBコードもJEコードも刻印されていない双眼鏡ですが、前出2台の新井光学の双眼鏡とは明らかに作りも見え方も異なり、けっこう名のある双眼鏡OEMメーカーの製品は確かでしょう。
 スカイメイトと名前がついているくらいですからおそらくは昭和46年の火星大接近による天文ブームにあやかった天体観測用を連想させるネーミングですがどうなのでしょう?当時、なりたての天文マニアで、望遠鏡も双眼鏡もビクセンを購入してしまい、あまりケンコーには注目していなかったためか記憶がありません。
 しかしまあ、カートンにしてもケンコーにしても当時はメーカーだと思っていたのは当然ですが、実のところ光学商社でいろいろな会社に望遠鏡双眼鏡を作らせ、それを自社ブランドとして売っていたなんてまったく知りませんでしたし、よくカタログの写真と店頭に並んでいる同じスペックの双眼鏡が外観がまったく違うということが不思議だったのです。

Dvc00323 そのケンコースカイメイト8x30mmですが、見かけは昭和40年代末期の鎌倉光機のZ型双眼鏡にそっくりです。それでも鎌倉光機にしても大塚光学にしてもどこかにメーカーコードがさりげなく打たれているのが普通なので、鎌倉光機の製品の可能性も高いながらその確証はありません。また対物セルのカバーと鏡筒の間に飾りリングが入れられる手法というのが当時同じく鎌倉光機からOEMで双眼鏡を受けていたコピターのZ型双眼鏡にもよく似ているような感じもしますが、内部まで探ってみたもののその出自を証明するような証拠はなにもありませんでした。
 それでも実際に覗いた感じも解像力、コントラストもけっこう高く、視野の周辺部の収差もよく押さえられており、OEMの双眼鏡としては一流どころの製品に匹敵する双眼鏡だと思いました。新井光学のOEM双眼鏡とは比べ物にならないくらいのいい双眼鏡です。対物接眼レンズともにシアンのモノコートで、ブリズムは当時のことですからBK7材のプリズムですが、射出瞳径も真円でした。プリズムも新井光学のようなタガネ固定ではなく透明なグルーを使用した固定法です。視軸の調整はさすがにエキセンリングでした。このあとすぐの時代の大塚光学製Kenko 8x30mmは対物レンズセルもプラスチック化して視軸の調整も鏡体2カ所に設けられた芋ネジでプリズムを微動させる手法に変わりましたが。
 何かスカイメイトと名付けられているくらいですから一応は光学性能にうるさい天文マニア用に材料、メーカー共に吟味した結果なのかと想像してしまいます。実はこの双眼鏡、まったくレンズもプリズムも曇っておらず、視軸も狂っていなかったためレンズの表面だけ拭いただけの双眼鏡で、古い中古の双眼鏡としては珍しい個体でした。
 まあ一般的にはKenkoの双眼鏡として片がついてしまう双眼鏡なのですが、板橋輸出双眼鏡の底なし沼に入り込んでしまうとそれがどこのOEM製品か気になって仕方が無いのです(笑)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 25, 2018

Kenko 8x30mm 7.5°Z型双眼鏡(新井光学)

Dvc00326 おそらくは昭和40年代前半の製造と思われるKenko 8x30mm 7.5°のZタイプの双眼鏡ですが、前出のKenko Aceと同じくJ-B114の新井光学のOEMになります。こちらのほうが年代がAceよりも若干古いようで、その証拠にAceには打たれていなかった鏡体製造メーカーのJ-E22の刻印もちゃんと揃っています。それでもKenkoの名入れは彫刻ではなくスクリーントーン印刷なのでおそらくは昭和40年代前半の製品だと思います。
 Kenko Aceと比べるとプリズム面のコートが省略されていたりしますが、見え方にさほど差があるわけではありません。ただ、分解していていただけなかったのは、プリズム固定でタガネを入れる際にへたな職人が手がけたのかプリズムが一部タガネ目の当たったところが欠けていたことで、特に右の対物側プリズムは2カ所のタガネ目の両方とも小さく欠けていました。さらに右の接眼側のプリズムにも一カ所タガネ目でプリズムに欠けが生じています。いかに光路に関係なくともこういう組立は絶対に容認出来ませんし、新井光学の技能の底の浅さというのが見え隠れしてしまうようです。それだけでここの双眼鏡自体がろくでもない製品に思えてしまいます。
Dvc00325 内容的にはさほどコストダウンが要求されなかった発注だったのか内部の塗りもまだ丁寧ですし覗いた感じも解像力・コントラストともに物足りない物の輸出双眼鏡としては標準レベルですが、周辺部の収差がスタンダードな視界の双眼鏡にも関わらず若干大きいようで歪んで見えてしまいます。
 なんかプリズムの欠けの一件でいやな思いの残った双眼鏡ですが、このプリズムのタガネ目打ちの固定というのは昭和40年代後半になると接着に変わり、このようにプリズムを欠けさせてしまうような雑な仕事も無くなるのですが、そもそも一流といわれるメーカーの双眼鏡はプリズムポケットの精度が良いためか、そのままプリズムがピタリとはまり込んで微動だにしないものです。所詮部品をかき集めて組み立て調整を生業としている会社だからそれぞれの部品の公差で錫箔調整やタガネ打ちなどは避けられないのでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 23, 2018

Kenko ACE 8x30mm 7.5°Z型双眼鏡(新井光学)

Dvc00320_2  久しぶりに1円双眼鏡を4台まとめて落札しました。とはいえ1台だけ11円付いてしまったのがあるので、正確には1円3台11円1台です。そのなかの3台が同じKenkoの年代違いの8x30mm 7.5°のスタンダードな双眼鏡です。すべて刻印が異なるため、どういうメーカーがOEMでKenkoに納めたかという興味のみでまとめて落札したものです。
 まずKenko Aceという機種名が入った8x30mm 7.5°のZタイプ双眼鏡ですが、こちら対物セルの飾りリングがどこかにぶつけでもしたのか変形していて外れないというジャンク。覗いてみると視軸はもちろん上下左右にずれていて、プリズムが曇っていてよく見えないというシロモノ。Aceという機種名のつくKenkoの双眼鏡は一時期何機種かあったようで、8x30mmから12x30mmや12x50mm、16x50mmあたりが確認されています。ある特定メーカーの納入物を区別するための機種名なのかはよくわかりません。年代的には昭和40年代前半くらいの製品でしょうか。Kenkoマークなどがすべてスクリーントーン印刷に変わっています。内容的には同じく入手した昭和40年代前半くらいの8x30mm 7.5°に殆ど変わりませんでした。というのも2台とも板橋区大山金井町にあった株式会社新井光学という会社のOEM生産の双眼鏡だったためです。
 新井光学は創業が昭和29年7月で当時は有限会社でスタートしたものの昭和35年5月に株式会社化した輸出双眼鏡組立専業の会社でJB114のメーカーコードが与えられていました。人員は総勢15名でしたから泡沫の組み立て工場の社員数人というところよりも大所帯なものの企業規模でいえば中小というよりも零細のカテゴリーに入りそうな大きさです。
 このKenko ACE 8x30 7.5°の双眼鏡はスペック的には他の板橋輸出双眼鏡とさほど変わらないスペックですが、プリズム面を含めてすべてのレンズ面がコーティングされているフルコーティングでさらに陣笠も金属製という割とコストダウンが目立たない双眼鏡です。しかも鏡体内部は黒のつや消し塗装がちゃんと施されており、当時の鵜の目鷹の目でコストダウンされてきた輸出双眼鏡よりも高級な双眼鏡です。
Dvc00319 内部はさほど酷いカビ等も無く洗浄できれいになりましたが決定的にダメだったのは対物側のプリズムの二等辺面のコーティングが劣化して白内障を起こしていたことです。高温多湿の環境下にしまい込まれるとカメラのレンズ等のコーティングが劣化して白内障を起こす事はありますが、モノコートの双眼鏡プリズムの白内障は初めてです。コーティングされていなければ問題なかったのでしょうが、順光下ならまだしも逆光下だと画面が白っぽくなるなどコントラスト低下の影響は免れないでしょう。
 左の対物セルから飾りリングが外せないため、左右の視軸が完全調整出来ていないのですが、遠くの送電鉄塔を覗いてみるとプリズムコーティング劣化の影響もあるのかやや視野のコントラストに不満はあるものの解像力などは結構良好な双眼鏡でした。ニコンには及ばないものの岡谷光学のVistaに肩を並べるかもしれない掘り出し物双眼鏡の感があります。もっとも技術的には一切冒険はしておらず、部品は周辺からのかき集めで組立しかしていないメーカーですから技術的にどうのこうのということはありません。ただ、プリズムに錫箔修正跡がけっこう見受けられたので、いい加減ではなくまじめに調整はしていたのだろうとは思います。 このKenko ACEにはメーカーコードのJ-B114はあるものの、鏡体メーカーのコードは付いていませんでした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 22, 2018

Friend 7-21x40mm Z型ズーム双眼鏡(鎌倉光機)

Dvc00312  Kenkoが双眼鏡・望遠鏡などの光学製品を自社製造するために設立したフレンド光学(現ケンコー光学)のFriendブランドのズームタイプ双眼鏡です。フレンド光学の設立は昭和49年のことらしく、工場は埼玉の坂戸にあったらしいです。
 Kenkoの光学製品は昭和50年代からKenkoブランドとFriendブランドの二本立てで商品を用意していたのはVixen光学とアトラス光学の2社でVixenブランドとFokusブランドの2本立ての商品ラインナップを用意していたのと同じ理由でしょうか。どちらにしても急激に発展したディスカウント系の販売店に商品を流すための方法としてセカンドブランドを用意する必要があったのでしょう。
 それでFOCALの7x35mmと同時に落札したこの双眼鏡はフレンド光学の自社製品ではなくて何と鎌倉光機のOEM製品の双眼鏡でした。Friendの双眼鏡というとどうしても廉価版のイメージがありますが、こういう一流OEMメーカーの製品もあったということがわかり、なかなかFriendの双眼鏡も侮れないと再認識した次第です。下陣笠のトリポッドキャップとダイキャスト内部にJ-B133の刻印がありました。奇しくも今回は2台まとめて出品された双眼鏡の双方ともが鎌倉光機の双眼鏡だったということになります。Friendの双眼鏡も平成に入ってからはフィリピンのセブ島に設立したケンコーの現地法人が製作した双眼鏡が多くなり、こういうように石ころの中から玉が出てくる事もなかなか無くなったとは思いますが。
Dvc00313
 とはいえ、やはりセカンドブランドのフレンドですからからりコストダウンの掛かった双眼鏡で年代的には昭和60年代初期あたりでしょうか。まず対物鏡筒がすでに対物セル一体のプラスチック成形品になっています。対物レンズがシアンモノコートの一応は硝子レンズの色消しですが、エキセンリングが省略され、鏡体の芋ネジでプリズムを微動させ、視軸調整するタイプのZ型ズームで、プリズム押さえもネジで止めるのではなく鏡体差し込みになっています対物レンズとプリズムを外して洗浄しましたが、鏡体内部はやや反射の多そうなケミカル処理になっています
 クイックフォーカスなので対物側から基軸抜け止めのネジを緩めて接眼レンズアッセンブリーを抜き出す方式ではなく上陣笠のネジを蓮してその下のクイックフォーカスメカ基軸と鳥居の連結ネジを外して接眼レンスアッセンブリーを抜き取る必要があります。左右のズームの連動は鳥居の裏側に仕込まれたギアによる連動です。ズームのカムを移動させるメカはさすがに金属ですが、外側の接眼レンズのセルなどもすでにプラスチックの成型品で、レンズも高周波ウエルダーを使った溶着です。実はこのプラスチックのレンズセルにギア型のリングを高周波ウレルダーで溶着する技術というのはスーパーゼニスなどのプラスチック製双眼鏡を作りまくったJ-B4の東栄光学が特許を取り、高周波ウェルダーのメーカーと共同開発した機械を使用して実際の製品になったらしいのですが、この高周波ウェルダーメーカーが他社にも売り込んだのかそれとも他社が独自でどこかに作らせたのか、昭和50年代半ばから60年に掛けて特許侵害で東栄光学が複数の双眼鏡メーカーを訴えてそれぞれ500万円の損害賠償を請求する訴訟事件に発展したという曰く付きのレンズセルなのです。その被告の中に鎌倉光機も含まれていて結局は2審でも控訴棄却となり敗訴が確定したと思いますが、興味のある方は「東栄光学樹脂環訴訟」という件の判例集でも検索してみましょう
 それで組み上がったままで遠くの送電線鉄塔を覗いてみると激しく上下左右にずれてしまっていたために張り革の芋ネジのところをほじくり、芋ネジによって上下左右に視軸調整したのですが、左の像が若干倒れ気味。ズームの双眼鏡でおまけにコストダウンのよく効いた機種でもあり、解像力、コントラストともにディスカウント店あたりに並んでいた同様の双眼鏡と五十歩百歩のような感じです。玉かと思って思わず拾ってみたらビー玉だったというような思いですが、製造が鎌倉光機といえどもさすがにコストの掛けられない双眼鏡はこんなものなのでしょうか。もっともFOCALの超広角双眼鏡のおまけみたいなものですけどね。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 21, 2018

FOCAL 7x35mm11°BL型超広角双眼鏡(鎌倉光機)

Dvc00315  FOCALという商標の双眼鏡は日本でも普通に見かけるものですが、これはアメリカの大手ディスカウントチェーンのKMartの前身、SS KRESGE COMPANYの光学製品の商標です。KMartは日本でいうとダイエーのようなディスカウント百貨店チェーンでしたが、アマゾンなどのインターネット販売の急激な台頭で一気に業績が悪化し、店舗/人員数の整理を行うも2002年に連邦破産法の適応を受けて会社更生法の適応を受けて新たなKMartを設立したという話です。この新生KMartはアメリカ西部開拓時代からのカタログ通販業者SEARSを合併するも、こちらも2018年10月ですからついこないだ破産して会社更生法を申請したようです。現在裁判所の管理下で再建を目出しているようですが、役員の流出を防止するために特別ボーナスを出す許可を裁判所に申請しているそうです。ところが多くのKMart店舗閉鎖に伴う従業員解雇に際し、解雇予告手当を8週分払う約束が4週分で打ち切られたようで、アメリカ国内でもこの破産管理下での役員賞与支給に批判が出ているのだとか。アマゾンの台頭でシアーズの名前まで消滅しそうになったこの破産事件というのはかなりのニュースのはずですが、日本ではまったく報道を見ませんでした。このシアーズも自社のカタログ通信販売で昭和20年代から日本製輸入光学製品を発売してきており、カメラはTOWERブランドでしたが双眼鏡はそのままSEARSだったようです。
 輸出にあたってはどこかの光学輸出品商社が介在していてその都度いろいろなメーカーに作らせていたはずでFOCALの双眼鏡は単一メーカーの製品ではないようです。このBLタイプ7x35mm11°の超広角双眼鏡ですが、その形状から鎌倉光機もしくは日吉光学のOEMとにらんで入手した双眼鏡です。しかし、なぜこの手の相手先OEMブランドの双眼鏡が日本で平気で出回っていたのでしょうか。おそらくは商社側で追加注文を見込んでいくらか余剰に生産させていたものが結局は行き場を失い、換金目的で国内に出回ったのでしょうか。今の世の中、いくら相手の注文の品物とはいえ、相手の商標の商品をそのまま市場に流したら商標法違反で捕まりますからわざわざノーブランドにしてディスカウント系に流すのでしょうが、おおらかというかいい加減というかそういう時代もあったようです。
Dvc00314 アメリカに渡ったFOCAL双眼鏡の画像をいろいろ見てみると、やはり光機舎あり、鎌倉光機あり、大塚光学あり、末期にはクイックフォーカス付きの双眼鏡などもありました。さすがに大手ディスカウントチェーンだけに価格にはかなり厳しかったのかもしれません。
 それで会社がSS KRESGEからKMartに商標変更したのは1977年だそうで、FOCALの双眼鏡もその後はFOCALの名称にKMartのマークが追加になったようなので、製造年代の判定には役立つかもしれません。
 札幌から2台まとめて入手したうちの1台のFOCAL 7x35mmは11°という超広角双眼鏡双眼鏡ですが、普通ならそこそこ高い落札額が付く物の今回は競争相手も無く2台まとめて1k円でした。届いた双眼鏡は7X35mmの11°BLタイプとしてはかなりコンパクトに感じられ、重量もかなり軽い印象だったためキッチンスケールで量ってみるとストラップ抜きで770gという破格の軽さでした。そこそこ使い込まれ、長期に渡ってしまい込まれていたためか対物レンズの内側もグリース類の蒸発した油分で曇っており、視軸も左右に大きくずれているという状態でしたが、なんといってもJ-B133の刻印が打たれた鎌倉光機の双眼鏡に間違いないため、手をかければ普段使いの双眼鏡として活躍してくれるはずです。接眼見口がゴムの折込タイプに変わっていることから年代的にはそれほど古い双眼鏡ではなさそうですが、それでも対物レンズのセルは樹脂ではなくエキセンリングが組み込まれたもので、プラスチックの成型品を使用している部品がないなど、構造的には昭和40年代のBL型双眼鏡と変わりません。それでも鏡体ダイキャストは金型の射出成形になったようで、対物側から抜きやすいように以前の製品より平坦に感じられるものです。そのおかげで軽量化していることは確かですが。
 この鎌倉光機製双眼鏡はFOCALのロゴの左上にKMartのマークが追加になっている事などから1977年以降に作られたことは確定されますが、おそらくは80年代初期くらいの製品ではないでしょうか。それでもプリズムはBK7のままのようですから80年代初期くらいの円高不況以前の製品かもしれません。
オーバーホールしてプリズムアッセンブリープレートの芋ネジ3点で視軸を調整するとエキセンリングを使用しなくとも視軸はピタリと合いましたが、覗いた感じははやり光機舎の7x35mm11°のときのような驚きと感動はありません。まあ、超広角双眼鏡に慣れてしまったということも大きいのでしょうが、まだきれいに反射防止塗装がされていた時代と異なり、コストダウンでプリズムカバーも無くなり、内部も黒染処理で済まされてしまったことがコントラストがやや物足りない原因になっているのかもしれません。解像力は前出の大塚光学の7x35mm11°よりも中心部は優れていると思いますが、何か覗いていて軽く目眩を起こしそうな感覚にとらわれてしまいました。大塚光学のものよりもやや周辺部の収差がきつかったからでしょうか?


| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 19, 2018

OPAL 8X30MM 7.5°Zタイプ双眼鏡(オパル光学)

Dvc00304 オパル光学の8X30 7.5°CFタイプの双眼鏡です。オパル光学という会社は製造業者コードがJ-B248とかなりの末番で、おそらくは昭和40年近辺の創業ではないかと思われます。何となくマークがターゲットのようなマークなのでもしかしたらジェームズ・ボンドの流行った昭和40年頃というのもあながち外れていないかもしれません。
 このオパル光学のOPALブランドの双眼鏡は国内向けの商標らしく輸出にOPALブランドで出回った様子は無いようです。はたして輸出用としてどういうOEM製品があったのか知りたいところです。製品は8X30,7X50,10X50,16X50,ズームの10-30X50くらいしかないようで、しかもズームは大塚光学のOEM製品のようです。これらを見てもオパル光学独自の特徴のある製品は見あたらず、技術的にどうのこうの評価するべき会社ではなかったような印象です。
 送料が安かったので同じ北海道内から入手したOPAL 8x30mm 7.5°のZタイプ双眼鏡でしたが、若干プリズムにカビはあるものの全般的には酷使された様子も無くわりにきれいな個体でした。分解前に遠くの送電線鉄塔を覗いてみましたが視軸もあっており、一旦分解してもエキセンリングの調整だけで視軸は合わせられそうです。
Dvc00305


 中の状態は鏡体内部の反射防止が甘く、簡易的な塗りで済ませてあるために内部反射がコントラストに影響しそうで、プリズムは対物、接眼側ともにノンコーティング。レンズは対物接眼ともに割と薄めのシアンコーティングでした。オーバーホール後に実際に覗いてみた感じではコントラストも解像力もやや物足りません。特に像面のピントが合いそうでいてかっちり合わないような感じで、なにか光軸自体が合っていないのではないかと疑ってしまうような個体でした。まあいろいろ輸出用8x30mm 7.5°のスタンダードな双眼鏡はいままでいろいろ試しましたが、見え方に関しては並以下というような評価で、特に線がやや太く見えてしまうような傾向を感じました。大手のニコンや準大手の岡谷ビスタに比べるのは酷ですが、日吉光学や大塚光学にも遥かに及ばず格下の双眼鏡だと感じてしまいます。まあ輸出用の板橋双眼鏡としても正直やや物足りなさを感じます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 18, 2018

NEPTUNE 8x30mm 7.5°Zタイプ双眼鏡(大宮光学機械)

Dvc00307
 NEPTUNEブランドの8x30 7.5° CFの双眼鏡です。以前にメーカーの手がかりがなくておそらくは板橋光学機械製造のものではないかと指摘した8X30 7.5 IFとは異なり、こちらは昭和34年以降に組み立てられた輸出用双眼鏡で、メーカーコードはJ-B11の大宮光学機械で製造されたものでした。ダイキャストもJ-E11ですからこの双眼鏡は組立も本体も双方とも11番という珍しい組み合わせになっています。
 大宮光学機械は昭和29年4月に練馬区の仲町に設立された純粋な輸出双眼鏡組立の会社です。国内向けの双眼鏡はあまり無かったようでわずかにカートン光学OEMがあったことはわかっています。この双眼鏡は世田谷区の当方より一回りくらい年配の方の家にずっとあった双眼鏡だそうで、なんでも教師をされていた父君の旧制中学時代の教え子が「うちの会社でもこのようなものが作れるようになりました」とわざわざ自慢げに持って来てくれたのがこのNEPTUNEブランドの双眼鏡だったそうです。最初からむき出しの本体しかなかったので、あとで近所の眼鏡店から双眼鏡のソフトケースを購入してそれ以来の長い間、家の唯一の双眼鏡として長年活躍してきたそうです。その双眼鏡が家にやって来たのが昭和34年か35年とのことなので、当方の製造時期の見立てとも完全に一致しました。
 当時、双眼鏡組立は儲かるというので板橋の周辺に雨後のタケノコのように多くの双眼鏡組立業者が乱立し、それに従い手間賃が安くても仕事を欲しがる業者のダンピングと買い付け業者の買いたたきなどがあり、体力の無い輸出双眼鏡組立業者の倒産・廃業が相次いだ時期です。そのため、輸出向け双眼鏡の製造業は中小企業等調整法とかいう町の清涼飲料業者と同等の扱いで特別に輸出双眼鏡製造組合の下で生産数の割当と価格カルテルが独占禁止法除外されていて、さらには組合が双眼鏡を買い上げて輸出業者に渡すというシステムが出来上がったころの製品らしいのです。しかし、この目論みは各社が製造した製品を組合がさばききれない程抱えた事や、組合に属さない業者が自由生産を続けた事から早々に破綻したようですが、輸出双眼鏡はその組立た製造元とダイカストを収めた会社を明確に示すためあらかじめ割り当てられたJ-BコードとJ-Eコードを刻印することとなっていました。この輸出双眼鏡のメーカーコードは昭和44年に廃止されたそうですが、それ以降もずっと自社のコードを付しているメーカーもありますし、逆に国内向けの双眼鏡には刻印する義務がなかったため、昭和44年以前の双眼鏡でもまったく刻印がない双眼鏡も多く、さらにユニオン光学のように顕微鏡が本業で、輸出双眼鏡製造組合には参加しなかったメーカーなども何社かあるようです。
Dvc00306 この大宮光学機械製のNEPTUNE双眼鏡ですが、まだまだ全体的にはコストダウンのしわ寄せは来ておらず、さらに部品の寄せ集めで左右のコーティングが異なっていたり、本来合わない部品を無理に調整で合わせてあるようないい加減な双眼鏡ではなく、かなりしっかりした作りの双眼鏡だという印象を受けました。上と下の陣笠の素材も両方とも金属で、ネジを締め上げると割れてしまうような安物ではありません。また、接眼レンズの口径が大きくてあたかも広角双眼鏡のように見えますが、ごく普通の8X30mm双眼鏡でした。
 FULLY COATEDとありますが、接眼側のプリズムにはコーティングがあるものの対物側のプリズムはノンコートのようです。筐体内部は反射防止の黒塗装はさすがに省略されていて黒染めでお茶を濁しているのが不満ですがまあ輸出用で当時は価格が決められていた中ではよくまとまっている双眼鏡です。対物レンズ接眼レンズともにマゼンダ掛かったシアンのモノコートです。片方の対物レンズにスポット的なバルサム切れが何カ所か生じています。
 ただ、分解前に遠くの送電線に先端を覗いてみたらきれいに左右に離れて見えていたので、届いた時点で視軸が合っていなかったのですが、レンズおよびプリズム洗浄後に組み立てる、エキセンリングで調整を図るも修正しきれず、プリズムはタガネで固定されていて上下左右にまったく動かす余地がなく、現在は保留中です。ただ、視軸が合っていない状態で片方ずつ目標物を覗いてみてもあまり結像が良いとはいえませんでした。対物側プリズムに錫箔による修正が2箇所ありましたが、どうも修正しきれていないような感じで、左右おのおのの光軸が合っていないような気がします。感覚としてはアウトフォーカスから合わせようとしていっても焦点が合いそうで合わなく、シャープなピントが望めない状態で、もしかしたら員数外部品かき集めて双眼鏡を一台でっちあげ、恩師の所に手土産として持参して来たということでしょうか。まあ製品状態だったらケースもキャップもなしってことは無かったと思いますが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 04, 2018

Kenko 7x35mm 11°BL型超広角双眼鏡(大塚光学)

Dvc00214 Kenko 7x35mm 11°の超広角BLタイプ双眼鏡です。こちらは以前の光機舎製のKenko 7x35mm 11°超広角よりも年代的には新しく、製造はDia-Stoneブランドの大塚光学のOEM商品です。
 光機舎のものとスペックは同じもののデザインを含めてこちらはかなり近代的な双眼鏡で、それというのも筐体がこちらは金型による射出成型品になったようで、上下二分割の金型から成型品が抜けやすいように考えられた構成の設計になっており、おそらくは対物側と接眼側の二分割の金型が使用されているようで、筐体は内部が釣鐘状でがらんどうな印象を受けます。
 上下二分割の金型のためかストラップ吊りが本体に鋳込むことが出来ず、後付になっているのが特徴です。また型抜けを容易にするためか、はたまたデザイン上の特徴とするためか、筐体の接眼側の左右がななめ45°にすっぱり切り落とされており、その部分を覆うかたちで接眼側鏡板が回り込んでいます。そのため妙に左右が長くて大きいという印象がなく、ごろりとした感じはあるものの割とコンパクトにまとまっている双眼鏡です。
 また、これもデザイン上の特徴か焦点調節の輪が転輪が軸全体を覆っていて、両手で持った際に握りなおさずに右手の中指で焦点調節できるというメリットがあります。コーティングは薄いアンバー色の全面コートです。
Dvc00213 分解する前にいつもの通り遠くの送電線鉄塔の天辺を覗いてみるときれいに左右と上下がずれていましたのでオーバーホールついでに調整することにします。対物側から内部を光に透かしてみたところでは経年でプリズムの表面にやや曇りはありますが、カビのスポットなどはなさそうです。
 対物側のレンズの裏側は曇りも無くクリアだったので、今回は対物側を分解せず接眼側から分解。対物側から昇降軸ストッパーネジを抜き、転輪を回して接眼レンズアッセンブリーを抜き、接眼ガイドスリーブをベルトレンチで緩めて抜き、側面ネジ各1本を抜いて左右の鏡板を取り外すとプリズムアッセンブリーが現れます。このプリズムアッセンブリーの3本のスクリューを抜くとアッセンブリーごとプリズムを外すことが出来、プリズムを外して無水アルコールで洗浄。左右のアッセンブリーのプリズム洗浄後に筐体にアッセンブリーを戻した後、鏡板をつけずにガイドスリーブだけねじ込み、接眼レンズアッセンブリーを戻して視軸の確認をすると上下左右にずれており、対物レンズセルに仕込まれたエキセンリングでも修正しきれないため、プリズムアッセンブリーの3本のネジを僅かに緩め、その隣にあるマイナスのイモネジを調整し、遠くの送電線が一致するように調整していきますが、その際エキセンリングはニュートラルに戻しておくことを忘れないようにしないと最終的にエキセンリングの調整しろが無くなり、微調整できなくなります。
Dvc00212 また、視軸の調整は人間の視差ずれを脳内で一致させる能力により左右のずれがなかなか合っているのかどうかわからないことはありますが、その際は転輪を回してアウトフォーカスにした際に左右がずれているかどうかではっきりわかると思います。また、片側の視度をずらしてみても左右が一致してるかずれているのがわかるはずです。
 最終的にエキセンリングで微調整しなくともプリズムアッセンブリーの3本のイモネジの微調整で視軸は一致しました。この際にわかったことですが、この双眼鏡は三脚に固定する手段がまったくありません。ヒンジ部分のカバーをはずしても三脚ネジなどは存在しませんし、そもそもヒンジ軸全体を覆う転輪のためにこの部分にも三脚アダプターを噛ませる余地がないのです。そのため、BL型は三脚固定でプリズムアッセンブリーのイモネジを微調整して視軸調整するのですが、この双眼鏡は手持ちで調整するしかありませんでした。
 さて、同じくKenkoブランドの光機舎性7x35mm 11°との比較ですが、覗いてみると光機舎の双眼鏡のほうが視野が圧倒的に明るいのがわかります。どうも大塚光学のこの双眼鏡は時期が新しいということもあり、筐体内部の反射防止が手抜きされ、また対物側のプリズムカバーも省略されてしまい、内部反射が光機舎のものよりも多いのが原因でしょうか。しかし、視野周囲の像のゆがみは光機舎のものが超広角ゆえにかなり大きいのに比べ、こちらの大塚光学のほうはけっこう小さく許容できる範囲だという違いがあり、見ていて疲れないのは大塚光学のほうでしょう。中心部解像力に関しては光機舎のほうが良く、大塚光学のほうはやや見劣りするのですが、これは全像面の均一性を取るか、周辺部を捨てて中心解像力を取るかのコンセプトの違いでしょうか。
 重量は光機舎960gに対して大塚光学は920gです。筐体切り欠きの分だけ軽いのかもしれませんが実際の重量以上に軽く感じられます。
 また接眼レンズ外玉径は光機舎のほうが圧倒的に大きく、光機舎28mmに対して大塚光学22mmとなっており、後ろからの映り込みや逆光で接眼側から漏光し、コントラスト低下の原因にはなりにくいようです。J-B46のコードが筐体接眼側ブリッジに刻印されていました。
 さて、この大塚光学製7x35mm 11°双眼鏡の年代ですが、構造からすると金型の放電加工機の普及によって精密なダイキャストの成型品が手軽になった70年代末から80年代にかけての製品でしょうか。光機舎が輸出双眼鏡製造から退いた後に大塚光学に生産シフトされたカテゴリーの商品でしょうが、そこは大塚光学らしくただのBL型ではなくオリジナルデザインになったことは意義があったと思いますが、なんか筐体が平板で持った手によくフィットするかというと、どうもそうではないようです。ちょっと後のカメラの人間工学的な握りやすさとは同じ光学製品でも逆行してますね。
 接眼レンズのトリイの真ん中の陣笠部分にφ28mmのプラスチックのメダリオンが嵌っていたはずなのですが、これは欠落していてこれが実にマヌケに見えてしまい、なにか革シボ表面の黒い樹脂でも削ってはめ込んでおきたいところです(笑)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 25, 2018

日吉光学OCEAN 7x35mm 10°BLタイプ広角双眼鏡

Dvc00201 日吉光学のOCEAN 7x35mm 10°のBL型双眼鏡です。これが輸出用であれば相手先のブランドになるのでしょうが、国内向けということで、オリジナルのOCEANのトレードマークが付いてメーカーのコードもまったく付いていない製品です。年代的には昭和40年代初めくらいの製品でしょうか。
 以前にも書いたとおり昭和30年代になるとアメリカの消費者の嗜好から7倍もしくは8倍のBLタイプで広角の双眼鏡が作られるようになり、その中でも光機舎、大塚光学、日吉光学などは超広角双眼鏡を各種製造し、相手先ブランドで大量に輸出していました。
 市販輸出用超広角双眼鏡のレコードホルダーはLinetブランドの日吉光学製造視野角13°だそうですが、同じくこの日吉光学のBL型双眼鏡は視野角10°ながらさほど無理のない設計ゆえに実用的にはこれくらいが最適なのではないかと思わせる双眼鏡です。
 同じく日吉光学製造のSimourブランドの7x35mm 10°のZ型双眼鏡があり、その双眼鏡との見え方の比較なども面白いと思って手に入れたものです。さすがに落札額はごみ双眼鏡と次元が違いますが(笑)
Dvc00200 この日吉光学の7x35mmBL型は前回入手したKenkoブランドの光機舎7x35mmBL型と比べると視野角は1°狭いものの大きさは変わりません。ところが重量がかなり軽くなっており、光機舎が1000gに近い重さでとても常用できる重さではないのに対してこちらは780gとかなり軽く仕上がっているのが特徴です。そのため8x30mmクラスの双眼鏡に比べてしまうとかなり重いのですが、それでも7x50mmクラスの双眼鏡よりはだいぶマシというレベルです。
 おおよそ製造年が昭和40年前後らしく、各コーティングもシアンのモノコートですが、さほど視野の暗さというのも気になりません。BL型ですが、対物セルにエキセンリングが組み込まれており、最終的にはエキセンリングで視軸を微調整するタイプです。
 かなり長年タバコの煙に晒されていたようで、貼側の表面などがヤニでコーティングされており、中性洗剤を薄めたものをつけた歯ブラシで何度もこすっては拭きを繰り返すと今度は貼革の艶がなくなり、今度はシリコンの艶出しスプレーを布に染み込ませて塗布。
 対物レンズは裏側が若干曇っていた程度でカビのスポットはありませんでしたが、対物側から内部を覗いてみるとプリズムに若干カビのスポットが見受けられました。そのため、まず対物レンズを外して表裏を洗浄し、組み付けた後に接眼レンズアッセンブリーを抜いて接眼ガイドスリーブをベルトレンチで外し、鏡板のスクリューを抜き鏡板を外すとBL型特有のプリズムアッセンブリーが現れます。
 このプリズムアッセンブリー板をスクリュー3本を抜いて筐体から外し、対物側、接眼側のプリズムを外してプリズム面を磨きますが、対物側には遮光板は入れられており、こちらはちゃんと黒染めされています。プリズムにもちゃんとモノコートされていますが、カビによる変質で若干スポットが残ってしまいました。
 接眼レンズも曇りがありましたので分解洗浄しましたが構成は3群5枚構成で対物側と接眼側が2枚構成の張り合わせ、真ん中は単玉でした。各面にはちゃんとモノコートされています。
 再組み立てして遠くの送電線鉄塔の先端で視軸のずれを確認し、エキセンリングで修正を試みるも左右は合わせられるも上下のずれがどうしても合いません、そのため、一旦接眼レンズアッセンブリを抜いて鏡板を外し、プリズムアッセンブリ板の3本のネジで上下の視軸を調整することになりますが、この際は筐体に止めてある3本のスクリュウーを少し緩め、その隣にあるやや細いスクリュウを調整してあわせます。上のスクリュウーを僅かにねじ込むことで視軸の上下はピタリと合いました。
 実際に視軸を修正したこの日吉光学の7x35mm10°とKenkoブランドの光機舎の7x35mm11°と比較してみると、光機舎のような圧倒的な視界の広さに驚くという感動は日吉光学のほうにはありませんが、それでも視野が広々としており、コントラストもシャープネスもそこそこ不満も無く、視界の端のほうの視界のゆがみもそれほど気になることはありませんでした。
 殆ど光学系は同一で筐体形式の違いしかないSimorブランドの日吉光学7x35mm 10°のZタイプと比較してみると、視角や視野の明るさなどは殆ど変わりませんが、SimorブランドのZタイプのほうが視野周辺部のゆがみがやや大きく、解像力がやや落ちるような印象がありました。プリズムの大きさが影響しているのでしょうか。
 ただ、SimorブランドのZタイプのほうが重量が610gに対してOCEANブランドのBLタイプは780g。日常使いにこの重量差が許容できるかどうかがどちらを常用するべきかの分岐点になりますが、個人的にはこの重量差なら丈夫なOCEANブランドのBLタイプのほうを使うと思います。
 また冒頭でも書いたとおり、この日吉光学OCEAN双眼鏡は国内向けの出荷のためJ-BナンバーもJ-Eナンバーも最初から付いていません。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧