June 20, 2021

民放AMラジオ局2028年に殆ど廃止

 以前から話は出ていましたが、全国の民放ラジオ放送局が2028年にAM放送を完全停波し、FM放送に完全移行することを発表しています。それというのも広告収入の減少により老朽化した放送設備を維持できなくなってきたため、比較的放送設備が簡単なFM放送に完全移行するということで、その際はTVの地上デジタル化で空きになった90MHz帯で専有周波数帯幅の広いFM波での放送に完全移行し、現在のAM放送視聴範囲はFM中継局を設置してエリアアカバー(90%)するということらしいです。ただし、完全FM化しても現在の放送エリアををカバーしきれない北海道(HBCとSTV)ならびに秋田(ABS)の3局だけは2028年以降もAM放送を継続するということなのですが、この3局もWFM局での放送はすでに始めていてAM放送と同じ内容の放送を90MHz帯で放送していますので、中継局全域カバーの問題さえ解決できればAM放送停波ということも十分考えられるのです。ただ、北海道は周辺海域で操業している漁船の聴取も考慮しなければいかず、全面的にワイドFM化してAM廃止ということは現実的ではないかもしれません。 諸外国の実情はドイツとフランスではすでにAMラジオ放送は2015年に廃止され、FMラジオ放送しか行われていないとのこと。EUを離脱したイギリスではまだAMラジオ放送は安泰なもののFM放送に移行した地域もあるようです。アメリカでは逆にAMを停波してFMのみの放送完全移行をFCCに申請したラジオ局にFCCが許可を出さなかったなどという話もありますし、アメリカは国土も広いため、AM放送局はいまのところは安泰のようです。同じように国土の広い中国やロシアでもAM廃止ということは考えられません。ああいう国は垂直アンテナより断然高利得の巨大な指向性アンテナを全方向カバーで展開して1000KW級超の出力で全領土に電波を飛ばす広い土地もあるでしょうし(笑) そういえば、ドイツやフランスの国内向け自動車のラジオは当然FMしか受信できないものを搭載しているのでしょうか?あまり話題にもなりませんが、今はナビなどと統合されたオーディオシステムで音声で操作なんてことも当たり前でしょうからAM受信機能が密かになくなっていたとしても、知らない人は気が付かないかもしれません。
 とはいえ、今の世代はタブレットやスマホで、もしくはAI スピーカーでradikoを介して放送は聞くことはあっても、そもそもまともにラジオなんざ持っていない人のほうが多いのではないでしょうか?どういう統計を取ったのかはわかりませんが、今の所90MHz超のWIDE FMを聴取可能のラジオの普及率は53%だといいます。これ、radikoでの聴取者数も反映されているのかどうかはわかりませんが、うちの普通の古いAMモノバンド真空管ラジオがダメなことは当然として、FMのあるラジオでも一時期流行ったTVの音声が3chまで聞けるというラジオはたぶん大丈夫ですが、古いラジカセに2台くらいあったかしら?KENWOODの広域帯受信機能付きのTH-F7もいけそうですが、そもそも現居住地が北海道なのだからAM停波問題は地元放送局に関しては関係ありませんし、ほんの2kmくらいしか離れていないところにSTVのAM中継局の高いアンテナが立ってますし、戦時中の再生検波のラジオであろうと、古い通信機型ラジオであろうと今の所は心配ありません。
 しかし、今の若者はスマホでradikoを使ってであろうと、週にどれだけラジオを聞いているのでしょうか?好きなアーティストや芸人のオールナイトニッポンなんかはタイムフリーの聞き逃し受信を使って好きな時間に再生することはあっても自分のライフスタイルの中にラジオのリアルタイム聴取している若い人がどれだけいるのやら。その若者のラジオ離れというのが深刻な問題になり、さらに新型コロナウィルスによる飲食店営業自粛などのあおりを受け民放ラジオ局運営の生命線であるローカルCMスポンサーは軒並み撤退。さらに大手のCMスポンサーはネット広告に流出してしまって収支が成り立たなくなり、結果として設備維持も成り立たなくなってしまったということなのでしょう。実は今はどうかは知りませんが、昔からラジオのCMというのはTVには出てこないような独特なものが多く、というのもTVは家族で見るもの(今は違いますが)ですが、ラジオは基本個人で部屋に籠もって聞くもの。まだ宵の口から鶴光が「注射まだでっか?」なんてやっていたので、CMも圧倒的に若者向けの商品が多く、昭和50年代初期には計算尺に変わって爆発的に普及した関数電卓のSHARPピタゴラスのラジオCMなんかがありましたし、若者向け出版物、レコードの新譜、秋葉原の家電量販店、コンタクトレンズのCMも多かった。平成に入ってからはマイルーラなんていう避妊具や包茎手術のCMまでやっていたのはTVには真似のできないところ。そのラジオCMというのはビジュアルがなく「言葉で聞かせる」ものですから一種独特で、小芝居がらみが多かったのが特徴でしょうか。
 現在ラジオ放送への依存度が高いのは高齢者で、NHK R-1のラジオ深夜便を一晩中つけっぱなしという人も多いのでしょうが、実は当方もラジオ深夜便からマイあさに至るまで40年も前に秋葉原で購入した古いラジオのつけっぱなしの習慣がついてしまっています。というのも学生寮出てアパート暮らしになってから2年以上もTVがなくて、アパートに帰ってからはもっぱらラジオ生活であったことからTVを見るよりラジオを聞く生活が身についてしまったことと、ラジオで緊急地震速報が放送されるようになってからしばらくして東日本大震災が起こり、それが契機となって防災上、一晩中ラジオ点けっぱなしが習慣になってしまったのです。胆振東部地震のときは揺れ始めてから緊急地震速報が鳴りましたが、それでも飛び起きたため崩れた本の下敷きになるのを免れました。タイムラグのあるradikoでの受信だとこういうわけにはいきません。また緊急地震速報発報に関してはエリアメールや地元の防災無線の速報音よりも断然早かったような気がします。そういう防災上の観点からNHKは現在のR-1,R-2の2局放送を1局に統合するもののAM放送は継続することとされています。そのため、戦時中はNHKも2局が1局に統合され、全国同じ放送が流れていたわけですから戦時中の再生検波のラジオも元の1局時代に戻るわけです(笑)そういえば在京中に組み立てたゲルマニウムダイオードを使ったラジオはバンド内のどこもTBSが混信しているというシロモノでした。それをIFT使ってダブルスーパーにするとなぜ選択度が上がるのか、などがそもそものラジオの初歩なのですが、全国的に民放ラジオ局がAMから撤退すると中破の電波伝搬理論などとともに非常にわかりにくいものになってしまいそうな。秋の夜中に入り始める関西系のAMラジオ番組のローカルCMを聴いて「おお、さすがは実利の関西!」なんて体験することも今後は無くなってしまうのも惜しいのですが、それ以上に各ローカル放送局に受信報告入れてベリカード貰うたのしみも過去のものになります。当方QLSカード発行のほうが忙しいので放送局に受信報告書は送ったことないのですが、昔のBCL全盛時代は過去のものになり若者のラジオ離れの現在、ベリカード収集を趣味にしている層というのはどれくらいの人口があるのでしょうか?
 そういえば1エリアから8エリアに引っ込んでしまい、一番残念だったのはFEN(現AFN)がどうやっても聞こえなかったことでした。なにせ一時はFEN流しっぱなしにしていた時期もあり、12時のアメリカ国歌の放送でやっと一日が終わったと実感していた時期があったのです。場所的に三沢の放送が聞こえないかと思ったもののほんの基地周辺エリア向けに小出力で放送しているというので土台無理というもの。それで何年か経ってネットでも聞くことが出来ることを知り、今ではタブレットに専用アプリをダウンロードして聞くことが出来る時代になりました。驚いたのはジャンることに何chもあることと、基地ごとに独自の放送も行っているということ。ただ、810kHzの表示を見ながらラジオで受信するAFNとネットで聴くAFNはなにかやはり別物という感じがして今は頻繁には聴きません。このAFNも今後のAM放送はどうなってしまうのでしょうか?AFNの送信所はしばらく前にアンテナなども更新されたため、地方ローカル民放送信所のようにただちに設備老朽化することはありませんし、そもそも米国の軍事予算で運用されているため、広告収入減少は関係ありません。またAFN Tokyoの和光送信所は横田厚木座間横須賀の南西方向に指向性をもたせた放送を行っているため、千葉県在住中も「こんなに電界強度が低くなった」などと思ったほどで、どうりで北海道では深夜帯であっても810kHzがまったく受信できなかったわけです。

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March 19, 2021

地元防災無線がアナログからデジタルLPWA化

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 うちの街は東西に非常に長く(約40km)市の東西に渡りすべて海岸線に面しており、津波のリスク範囲が広範囲に渡ることと、樽前山という活火山に接していて、火山活動に伴う火砕流などのリスクも有り、地形的にすべての範囲で広報車等による避難連絡をくまなく伝えることが無理で、火山災害リスクの大きい市の西部を中心に音声で避難等の情報を伝える防災スピーカーを25基整備して市役所からの防災無線電波を受信して音声で拡声するというシステムを備えていました。しかし、北海道の気密性の高い家屋では外の音が十分聞こえないということもあり、東日本震災を期に家の中でも防災無線をキャッチして音声を復調する戸別受信機の整備を始めたのが平成25年度のこと。
 市では市民生活部危機管理室が平成25年に防災行政無線の戸別受信機を3期に渡り、まずはハザードマップによる津波浸水被害予想地域や火山災害予想地域の要支援者のいる家庭や公共施設などから配布を始め、その他の地域住民は希望者に個人負担金1,000円で防災行政ラジオを配布しました。この防災行政ラジオはリズム時計の9ZQA07、通称「おにぎり君」という特徴的な防災行政ラジオで受信周波数は69.5MHzのF3E波。いわゆるアナログのFM音声波の受信機だったわけですが、オートスケルチ内臓で、電波が入らないときは音が出ず、またFMやAMのラジオ受信中に防災行政無線の電波を感知すると自動的にこちらの回路が優先されるという仕組みです。市役所に近い地域では市役所屋上の電波塔からの直接波が、また市内の西部を中心に25基の防災無線拡声器が設けられいて、そこの中継機からも防災行政無線が中継されるというシステムだったようです。また、普段は外部電源をつけっぱなしにしておいて、停電すれば内部の乾電池に電源が切り替わるというものでしたが、実際にこの防災行政ラジオからの緊急地震速報で手近のヘルメットをかぶって落下物に注意したのは2回ほど。普段寝るときはNHKラジオがつけっぱなしなので、こちらのほうが先に緊急地震速報の警報音を鳴らすほうがタイミング的に早いようです。さらに胆振東部地震のときは防災行政無線から緊急地震速報が鳴ったときにはすでに大揺れしてましたし、先にNHKラジオの警報音で飛び起きていたあとでした。北朝鮮のミサイルが頭の上を飛んだときのJアラートは空襲警報を連想させてもう二度と聞きたくもないのですが。
Dvc00935  そんなアナログ防災行政無線の戸別受信機も国の政策で令和4年までに全国で完全デジタル化移行するべく国が特別交付金を付けたため、うちの街でも総事業費約15億円の予算を付けて防災無線のデジタル化を推進し、今年度末までにアナログ防災行政無線をデジタルに切り替える事業が進んでいます。そのため、従来配布されてきたアナログの戸別受信機は3/14日で使用不可になるのですが、今では緊急エリアメールが発信されるため、個別の受信機のニーズは従来よりも低くなったものの情報弱者を切り捨てるわけにも行かず、要支援者や福祉施設、学校や公共の施設に対しては戸別受信機10,000台無償配布、その他の希望する世帯は1世帯1台に限り3,000円で有償貸与するということです。
 防災無線のデジタル化は東日本震災で津波被害を受けた地方自治体を中心に60MHz帯アナログをデジタル260MHzに移行した音声通信の形式で、地域くまなく建てられた防災放送スピーカーならびにそこから再送信されるデジタル波を屋内で受信できる戸別受信機がすでにかなりの自治体で整備されています。ただ、津波被害のリスクが少ない内陸部などの自治体は防災放送スピーカーまでは完全デジタル化は達成しても、コストの高いデジタル戸別受信機をくまなく配布できる自治体はまだまだ限られているようです。
 当自治体が採用したデジタル防災行政無線のシステムはLPWA(低出力広域通信)という最新の技術を使用しており、NTTドコモの閉域ネットワークと携帯電波網及び準天頂衛星みちびきとのダウンLINKを使用し、市内に130基新たに設けられたパンザマストにドコモの携帯波と衛星の電波受信装置と拡声スピーカー及びLPWA電波送出装置を設けるものです。このLPWAは無線LAN等と同様に無線局免許状や無線主任技術者の専任がいらないようで、従来のアナログF3Eなどと異なり、文字情報のみを送信して端末側でそれを合成音声で復調するシステムとのこと。従来の屋外スピーカー設置塔もこのシステムに改修して再使用するでしょうから合計150基あまりのLPWA送出設備で東西に長い市全域をカバーできるのかどうかは試験電波を出さないとわからないことも多いのでしょうが、電界強度が低くてLINKできない地域では窓に貼るような形の外部アンテナを有償配布するとのこと。その使用周波数はどうも920MHz帯を使用しているようで、アナログの中継機の再送出出力が100mWだったのに対して10mWで周囲1kmを超えるカバレッジがあるという話なものの2.2GHzや5GHzの無線LANなど比べて伝送速度が圧倒的に遅く、今のところは文字情報送出くらいしか実用出来ません。電波の飛びは段違いだということはわかるものの、今後の920MHz帯の電波利用やLPWAの技術革新の可能性などに関しても完全に浦島太郎状態のアナログ電波技術者の当方にはよくわかりません(笑)
Dvc00934  この新たなデジタル防災無線戸別受信機(LPWA受信機)は平成30年から総務省主導で各メーカーが参加して基本的な3つの仕様が決められましたが、コストの高い安いに関わらず2波ラジオ内蔵、自動録音機能、聴覚障害者のための警報ランプ点滅、外部電源と電池の自動切り替えなどの機能が必須らしいです。そのためアナログの戸別受信機よりも調達価格がかなり上がり、調達数で値段がかなり変わるものの単価の平均は46,000円あまり。アナログ受信機の単価が29,000円ほどなのでかなりの価格アップということになります。うちの街では10,000台での調達単価が29,800円。アナログの調達価格が7,980円だったので市の負担も大きいのですが、どれくらいの割合で国の交付金が付いたものなのやら。そのLPWA送信装置付きの防災無線スピーカーパンザマストですが、基本市有地に建つわけですから小中学校のグラウンドの隅とか児童公園とかそういう場所に増設するのだと思ったら、なんとうちの家とアパート一軒及び道路を一本挟んだ公園内に知らない間に建ってました。昨年8月中頃から建設をし始めたらしいのですが、この公園には11月くらいに公園内のトイレの改修と同時期ぐらいに建設されたらしいのです。うちとの距離はおそらく30mくらいとローケーションは抜群ですから家のどこに戸別受信機を設置してもLINKされないということは考えられません。なにせこの距離だと我が家のWIFIの電波さえ到達するくらいの距離なのですから(笑) ただ、パンザマストの接合部分がまだ自己重量で十分締まっていないらしく、スピーカー設置部分の頂上が風でゆらゆら揺れているが気になりました。なお、LPWA再送信設備は低出力広域送信技術なので、その必要電力は文字通り極小のため、万が一停電で外部電力が供給不能になっても、内蔵電源で何日も送信し続ける事ができるというサバイバビリティーが高いことは言うまでもありません。ただドコモ側のサーバーが使用不可になったときは動作することはできませんが、万が一そんな災害が発生したら市から直接電波を発するシステムだってダウンはまぬがれません。東日本震災時に南三陸町の防災庁舎が津波で浸水し多くの犠牲者を出して機能を喪失しましたが、そういうことにならないようドコモの閉域ネットワークと携帯電波を使用したLPWAの再送出システムというのはサバイバビリティーに対してはかなり有効だと思われます。万が一市役所の親局システムがダウンしても消防庁や気象庁が発信する準天頂衛星みちびきを利用した緊急情報を衛星通信リンク各再送信装置が直接受信し、防災スピーカーで合成音声での放送を行うとともに緊急地震速報携帯のエリア速報メール同様にLPWA網で再送信が可能なのですから。しかし、あの放送冒頭のアナログ制御信号のキュラキュラ音が聞こえなくなるというのも時代の流れでしょうか。そして防災においても資格不要の無線ネットワークの普及というのはますます無線有資格者の肩身を狭めてきます。
 
アナログの防災無線が停波したのが予定通り15日。そして新しいLPWA個別受信機が送られてきたのが19日でした。やはり受信機はNTTデータのもので形式がCLT-100というものでした。市役所から送られて来るのかと思ったらNTTデータ北海道の名前で札幌郵便局扱いで送られてきたようです。一切の初期設定はユーザーがする必要もなくアンテナを接続して乾電池を入れ、外部電源をつなぐだけでLINKが成立し日付も時刻も自動的に修正されます。電波強度は携帯電話のように棒3本で表示され、なにせ隣の公園にLPWAの送出アンテナがあるので強度はバリ3なのは当然でした。ただ、ラジオのFMロッドアンテナが内蔵されていないため、ラジオ受信用のワイヤーアンテナが付属しているのですが、実際に地震で停電になったときはラジオだけが情報源ということもあったので、これから設備保守が大変なAM放送を廃止してFMだけにしようという時代にいざというときワイヤー伸ばしてFM放送を聞くという悠長なことができるかどうか。まあスマホがガラケーを駆逐して100%普及すればこのような戸別受信機も基本不要で、スマホですべて完結ということになるのでしょうけど。
 追記:戸別受信機を受け取った市内の各所からラジオがまったく聞こえないというクレームが市役所の危機管理室に寄せられているそうで。というのも実は当方も対策に関して電話したのですが、説明によるとデジタルとアナログ混在の回路の関係で弱電界の地域ではラジオが聞こえない(?)ので、現在メーカーとその対策を協議予定だが、LPWAのリンクの機能に関しては問題なく、とりあえずそのまま使用し続けてほしいとのことでした。そうなるとリズム時計のおにぎり君(9ZQA07)も新しい電池を入れてそばに置いておかないと、万が一胆振東部地震時のような長時間の停電に見舞われた時はラジオで被害の情報も把握できなくなります。
 また、このNTTデータCLT-100の通電開始後時間積雪量1cm程度の雪や雨がありましたが、再送信装置のパンザマストと数十メートルしか離れていないのにも関わらず、表示電界強度が3本から2本、1本しか立たない時間もあり、降雨降雪での920MHz電波の減衰というのはかなり問題になり、時間100mmくらいの豪雨になったときはほんのわずかな距離しかLINKが成立しないのではないかという懸念も伝えておきました。いちおうはそういうことも勘案してパンザマストの設置場所は検討されているということですが、LPWAは新しい技術だけにまだ実用的な問題がこれからもいろいろと露呈してくる可能性は大いにあります。
 再追記:最初の防災無線試験放送がありましたが、予定時間を過ぎてもなかなか戸別受信機が鳴り始めることがなく、しばらくしてから隣の公園に設置された防災スピーカからの放送が鳴りだしてから相当のタイムラグ(10秒ほど?)があったのちに戸別受信機からも音声が鳴り始めました。テキストベースのパケットを全受信したのちにそれをデコードし、音声に合成する現在のシステムではこれが限界なのでしょうか?準天頂衛星みちびきから中継されるJアラートなどの警報はまた違ってくるのでしょうが、正直携帯に発信されるエリアメールでの緊急速報のほうに伝達速度的には敵わないようです。翌日、正午の第2回目の試験放送。あいかわらすラジオの時報より時刻表示に数秒のタイムダグがありますが表示時刻が12:00になる直前に11:59の表示のまま試験放送の音声が発出されました。まあこれくらいのタイムラグだったら良しとしますが、前回試験放送時と何の変化が生じたのでしょうか?しかし、いまのところはこのLPWA戸別受信機はアナログ防災行政無線時代のように、戸別受信機の作動状態を確認するため毎日正午にメロディー(うちの街はエーデルワイス)が送出されません。音楽を鳴らすためにはテキストベースのMIDIファイルで音を鳴らす音源チップが必要なのですが、今のシステムではプリセットされた警報音は当然あるものの、そこまでのことは考えられてはいません。また戸別受信機の作動状態は「ON LINE」の表示のみで確認するのですが、急にエーデルワイスの曲が流れななくなったというのも何か寂しいものがあります。

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October 21, 2010

北海道のアマチュア局プリフィックスがJL8からJM8へ

  2000年9月から割り当てが始まり、10年の長きにわたって続いてきたJL8コールがついに今月に入りJM8コールの割り当てに変ったようです。電話級アマチュア無線技士試験が始まった直後に割り当てが始まった3文字サフィックスのJA8コールは1959年から1975年までの16年間続きましたが、その当時はアマチュア無線技士の総数が今とは比べ物にならないくらい少なかったわけですからその記録は現在とは比較になりません。無線人口が急激に増加した20年ほど前はJF8コール割り当て中だと思いましたが、その頃はあっという間に自分のプリフィックスが過去のものになり、2年も経たないうちに次々にプリフィックスが変っていくのが当たり前に感じていたという話でしたが、現にJF8→JG8→JI8→JJ8→JK8までたったの10年しか経っていません。JL8コールは割り当てが終了時点まで、最初に割り当てを受けた局が2回も再免許申請を出した計算になります。その永遠に割り当てが終了しないと思われていたJL8も過去のものとなり、現行プリフィックスというだけで10年前に開局した人も最近開局した人もまとめてなんとなくニューカマー扱いされていたような観念も薄まってゆくことでしょう。しかし、このペースで行くとJM8コールが終了してJN8コールに移行するのは20年後くらいかもしれません。

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July 10, 2008

サミット警備で違法無線機摘発

 かねてから北海道総合通信局管内では放送中継波に日本では使用を許されていないアメリカ国内用の免許不要無線機のFRSやGMRSの電波が混信して実害が及んだという80条報告が民法TV局から上がった事例があり、またニセコ近辺のスキー場で外国人観光客がこれらの無線機を持ち込む例もあったため、かなり重点的にFRS/GMRSの電波監視に力をいれていました。北海道内ではサミット開催に併せてテロ警戒の観点から総通局がこれらの発信元が特定できない不審電波の重点監視を行っており、サミット開催中に札幌市内でこれらの違法電波をキャッチし、発信元を特定して現場を押さえると、発信元は何と近畿警察局管内から派遣されたサミット警備の警察官だったという報道がされました。この警察官は同じくサミット警備に派遣された仲間の警官と個人的な連絡を取り合うためにGMRSを持ち込んで使用していたとのことで、違法だとはしらなかったと供述していたようです。この出力5WのGMRSは「30km電波が飛ぶ」というのが売り物のようで、いまだに「国内で使用するのは違法」とはっきり書かれずにネット上で売買されていますし、腕時計型のFRSなどもいろいろなカテゴリーに出品されていますので、レジャー用や子供のおもちゃとして「知らないうちに電波法違反を犯して」使用しているケースはかなりの数があるでしょうし、もしかしたら正規のアマチュア無線機のハンディ機として国内に出回る数よりもFRS/GMRSのほうが何倍も売買されているのかもしれません。実は以前、とある無線機屋に警官がパトカーで乗り付けてきて「こいつの予備バッテリーがほしい」とモトローラのGMRSを差し出した事があったそうで、これは違法機だから使えないと言ったら不思議そうな顔をして帰っていったとのことでしたが、意外と警備だなんだかんだで駆り出される事の多い警官は仲間内の連絡用として密かに私物のGMRSが蔓延している事実があるのかもしれません。もちろん警官といえども電波法には詳しくないでしょうから当然のこと「重い罪に問われる」という認識は無いとおもわれますが、一度警察内部でもFRS/GMRS狩りを実行しなければいけないかもしれません。

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May 25, 2008

8万局分の電波利用料の行方

 早いもので「移動しないアマチュア無線局免許状」が6月の末に期限を迎えるため、5月の連休明けに再免許申請を管轄総通局の陸上課に提出しました。5年間一度も変更が無かったため、旧電波形式記載のままで維持してきた局免でしたが、これで我が貧乏電波研究所の移動局と固定局の双方から旧電波形式記載の無線局免許状が消え去ることになります。移動局免許の期限が一年半前でしたが、それ以前に工事設計書の形式が変更になり、さらに昨年から再免許申請書には工事設計書の添付が不要になり、また今年度からは再免許申請も電子申請による手数料が大幅値下げとなりました。そのため、従来の申請済み無線機の詳細を変更申請の度ごとにきちんと把握しておかないと、再免許申請書に添付する工事設計書をどう書いていいのか混乱することがない代わりに、5年ごとに工事設計書も書かなくなった事で、申請済みの無線機がいったいいくつあるのか永久に整理が付かなくなる事態も生ずることになります。再免許申請書に工事設計書を添付することが廃止になり、再免許申請が基本的に免許の番号と識別符号だけ記載した一枚の申請書で済んでしまうことは、これもひとえに電波利用料の一部で整備されてきた電子申請システムによる事務処理のコンピューター連動により、台帳方式から電子方式に情報登録が移行したことに他なりません。そのため、以前の再免許申請は最短でも3週間ほど掛かっていたものが、さすがに入力する項目が新たな免許の期限くらいしか無くなったためかなんと5/12日受理で5/15日発行の無線局免許状が5/16日には到着しました。無線局再免許申請の数でいうとアマチュア局より業務局の方が圧倒的に多いのでしょうし、一日に相当な数の事務処理をこなしているはずですが、受理から4日で新しい免許状が発行に至ると「GJ」なんですが。
 ところがその我々が負担して「違法電波の探索設備の拡充ならびに無線局監視事務システムの効率化」のためのみに使用される名目だった電波利用料が、総務省職員の為の美術鑑賞券購入・野球観戦チケット購入・ラジコンカー購入など281件四千万円も流用されていたことが発覚しました。四千万円というとアマチュア無線局8万局が一年に払う電波利用料です。このアマチュア局8万局分の電波利用料が本来の目的以外に流用されることが「法律的に問題がない」といわれても納得できないことは当然です。でも当分、上級アマ試験の法規問題に「電波利用料の目的」に関する穴埋め問題は出ないかも…(^_^;)

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March 08, 2008

違法中継局摘発の反響

 報道によると道東は中標津の電気店主が電波法違反(総務大臣の免許を受けずに中継無線局を開局)の容疑で北海道総合通信局の告発を受け5日に中標津警察署に逮捕されたとのことです。警察によるとこの店主は1月の上旬から2月の下旬の間、自宅など2カ所にアンテナを建て、受信した民放FM局のラジオ番組を免許不要の無線局が認められている出力の150倍にあたる75,000マイクロボルトで送信した容疑とのことですが、おそらく電波法施行規則第6条の「322MHz以下の電波を使用するものは電界強度が3mの距離で500μV/m以下」の免許不要微弱無線設備基準の150倍ということなのでしょう。 取り調べに対しこの店主は「出力が弱く違法なことはしていない」と容疑を否定しているようですが、数字を突きつけられれば言い逃れは出来ないでしょう。電界強度的にみると、おそらく往年のFMトランスミッタなどの市販品を改造して送信用のアンテナに接続できるようにした無線設備ではなかったのかと想像してしまいますが、ご存じのようにFM放送帯を使用していた旧規格のワイヤレスマイクは昭和61年に10年の移行期間を設けて平成8年5月より使用出来なくなりました。当時のFMワイヤレスマイクはたぶん出力が100mWほどあったのではないかと思いますが、よくマンガ雑誌に広告が載っていた往年の光波無線製カッパマイクを購入してこれをトランスミッタにし、FMラジオをレシーバーにして近所の仲間と無線ごっこをした経験のある人もいるかもしれません。また、SONYあたりのFMトランスミッタをラジカセに繋いで、ミキシングマイク機能を使って誰が聞いているのかもわからないDJ番組を延々とやっていた人もいるかもしれません(笑)けっきょく電波の届く範囲を広げるために高出力化に走り、ある日電管の電波探索に引っかかって警察に踏み込まれた海賊放送局の噂なども昔は耳にしたものです。
 ところが今回のケースはDJヲタの海賊局摘発という色合いとは少々異なり、放送インフラの地方格差という問題から地元では極めて同情的な意見が多く聞かれ、事件報道の後にも翌日に「放送インフラ格差」の問題として新聞に取り上げられるようになりました。首都圏在住者には想像もつかないことだと思いますが、北海道の末端部分では民放FM局はおろか、昼間はNHK以外の民放AM局さえ受信できない場所がまだまだあるのです。このいわゆる「不感地帯」は10年前からまったくその範囲が狭まらず、その原因として札幌に設置された放送局の老朽機器更新と地上デジタル対策に追われて億単位の設備投資が要求される中継局設置が滞っていることによります。20数年前、まだ中標津に線路があったころに一度車で出掛けたことがありますが、中標津周辺ではNHKしかラジオが入らないのでTOBUといショッピングセンターのレコードショップに飛び込んでなるべく長〜いミュージックテープとして高中正義のベストをGBM用に購入したことがあります。線路が無くなって20年経つはずですが、今だに昼間には民放局が入らないとは思いも寄りませんでした。
 ということで、この電気店主は一種の「実力行使」で独自に不法中継局を開局したのでしょうが、この逮捕劇により「放送インフラの地方格差」問題が広くマスコミに取り上げられることで、地域の状況が改善される問題提起になることまで計算していたのであればけっこうな「策士」ですが、単に「出力が弱く違法なことはしていない」と本気で信じていたのであればただのアホかもしれません。ともあれ「法令に違反」していたことが確かですから擁護出来ませんが、個人的には今どき「高出力違法市民ラジオを開局して周囲のTV画面が真っ暗になったという通報を受けて逮捕」されるほんまもんのアホが引き起こす電波法違反事件とは意味合いが違うと思いたいのですが。まあ、この事件をきっかけに誰かの言う「電波特区」が実施されることにより試聴組合を設立して「私設の中継局」などが開設許可になるような環境の変化でもなければこの「放送インフラの地方格差」は今後も解消しないでしょう。本来は放送事業者が「難視聴地域100%解消」を第一目標に目指して真摯に取り組むべき問題なんですけどね(^_^;)

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September 13, 2007

今どき違法CB固定局で逮捕された人

 地元新聞紙の報道によると、美唄市在住の自営業の男と運転手の男が自宅に高出力の違法市民ラジオ局を開設して運用していたのを総合通信局のDURASの電波探査によって発信場所を特定され、総通局から8月21日に美唄署に告発が合ったことから電波法違反でこの2名の逮捕に至ったということです。しばらく前に北見の方で同じく高出力の違法市民ラジオを開設していた固定局が逮捕されましたが、このときはかなり広範囲にTVIを引き起こし、それきっかけとなって電波探査で発信元を特定されたようですが、この短い報道からは電波探査のきっかけは判然としません。しかしまあ、今どき重点監視周波数帯で固定局を運用し、さらにどんなアンテナ設備を使っていたのかもわかりませんが高出力とわざわざ書かれるくらいですから数百ワットから数キロワットの電力でも掛けていたのでしょう。知らないということは恐ろしいことですが、本人達はおそらくどんなシカケで発信場所を特定されて警察に踏み込まれたのかもわかっていないのではないかと思います。最近は直前に電波法違反で罰金刑以上の処分歴がある人でも講習だったら免許が必ずもらえるという話が伝聞しているようですが、今度は捕まらないようにアマチュアの免許を取るという行為が、果たして正しいのかどうか…。
 さらに岡山では局免が失効しているのにもかかわらずアマチュア局の運用を行っていた男が総通局に上がった複数の80条報告により総通局に摘発され、さらに資格外運用(4アマにも係わらず100Wの無線局を運用)も判明して従事者資格の停止66日の処分を喰らったという話を見ました。局免が失効しているので無線局の運用停止処分が出来ずに資格停止という処分に至ったようですが、本人「うっかりして局免の再申請を忘れていた」とでも言い訳したのでしょうか?とりあえず資格を持っているから不法開局の罪に該当せず、約2ヶ月間の資格停止で済むというのも少々処分が軽すぎるような気がします。しかし、電波行政を批判しても某協会の取材者証のように従事者免許を取り上げられる心配はありませんから安心です(笑)

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November 15, 2006

総務省のバナー広告

 今日、ネットオークションのポーダルを見てびっくり。何とネットオークションによるFRS/GMRSの蔓延に業を煮やした総務省が「無線機の購入には技適マークをチェック」なる電波適正利用キャラクターのデンパ君を使ったバナー広告をYAHOOに出し始めたではないですか。その広告をクリックすると技適マークのQ&Aという総務省の電波利用のページにジャンプするので、一応リンクを張っておきます。
 しかし、実際にモトローラなんかのFRSに引っかかってしまうような人に対して、果たして注意喚起になるかどうかは甚だ疑問なんですが、まあ電波法違反物件の取引の場所に注意喚起の広告を出したのは、行政の対応としてはなかなかのアイデアだと思います。
 当方、実際にFRS/GMRSの使用周波数をワッチすることはないので、当方の周辺にどれくらいこの手の違法トランシーバが普及しているかは感覚的にわかりませんが、けっこう近所の無線機屋にも「予備のバッテリーが欲しい」などと持ち込まれる事があり、その都度、違法であることを説明しているくらいなので、未だに電波法に違反するという意識がまったくないまま、レジャー用などとして所持されているケースがかなりありそうです。
 しかし「売るのは罪の問われず使う方が罪に問われる」という罰則適用の不公平を変えていかないと、なかなか違法無線機の蔓延は無くなりそうもありません。

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June 01, 2006

困った7メガの移動強電界

 本日6月1日は電波の日のようです。昭和25年6月1日に電波法と放送法が施行された日を記念するために6月1日を電波の日として制定したそうですが、他の法律が「何々上の観点からこれを取り締まる…」のような目的なのにも係わらず電波法の目的「この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする」という少し理想主義的な法律主旨をうたったのは、電波管理委員会という電波行政だけではなく学識経験者などによる非管理側の立場に立った人たちによって法律原案が立てられた為でしょう。もっと電波法の目的主旨が「電波の適正利用をもって社会秩序を守るため、これを取り締まることを目的とする」とされていれば、スピード違反と電波法違反を同レベルで考えるようなバカはいないと思いますが、それにしても無資格無許可開局が他の法律上の罰金刑に比べ、「懲役1年以下、罰金100万円以下」という極端に重いという事実は、電波が目に見えないだけに軽んざれているための当然の帰結かもしれません。
 トラックのルーフにあまり長いアンテナを立てると歩道橋に引っ掛けるから茶筒みたいなローディングコイルを巻いた7メガのホイップアンテナを取り付け、こんなアンテナで免許状どおりの10Wを掛けても飛ばないからとアンテナの利得はQROでカバーするのがモービル7メガの常識とばかり、CB時代に使っていたリニアをいじって300Wから1KWにして電波を出すとどうなるか。そのジャンボモービルの強電界で違法市民ラジオ同様に道路沿いのラジオやパソコンなどに音声が飛び込んだり電子機器に誤作動を与えたりするのです。我が町はフェリーやローロー船の8エリアへの玄関口ですから8各地のジャンボモービルが集まってきますが、近頃某掲示板などで叩かれるくらい7メガ周波数占有強電界移動局が多くて、それでも近頃少し静かになったなと思っていたら甘かったようでした。先週は無線自粛で夜はリグのスイッチは一切入らず、ながら勉強でナイターがラジオから流れていました。そこに突然函館の局のコールサインを呼ぶ声がはっきりと流れたので、リグの一台、電源を切り忘れたのかと思ったらオールオフで、何とラジオへの電波の飛び込みで混変調を来したのが原因のようです。半径数百メートルにアクティブな局はありません。当方、片側3車線のバイパスから50メートルくらい引っ込んだロケーションなので、どうやら違法高出力の移動局が近くで強電界を発生させ、その混変調でラジオに音声が飛び込んで来たみたいです。相手のコールサインはわかりましたが発信元のコールサインはわかりませんでした。しかし、そのモービルの走る先々でラジオなどの音響機器に音声が飛び込んでいるとすれば問題で、ヘタに無免許局ではなくてコールサインを一応呼んでの交信ですから「アマチュア無線のおかげでラジオに音が飛び込む」と言われても仕方がないのです。近所にアクティブなハムがいないので、当方のせいにされては堪りません。ご近所にはコールサイン持ちの局も違法CB局もやっていることは同じと見られるのは大変に困る出来事なのですが、世間一般には区別する認識などないでしょう。
 6月1日は電波の日で情報通信月間の一環として今月は道路上での電波検問が強化されるようです。特に幹線国道上でアンテナ付きの車は片っ端から停められ、警察と携帯端末を持った総通局職員が「許可の出されている無線設備が使用されているかどうか」を厳しくチェックするそうです。とくに局免があっても違法なリニアが積まれていないかどうかはリグからアンテナまで同軸ケーブルを手繰ってチェックするそうですから、その成果で少しでも電波を取り巻く環境が向上してくれるといいのですが…。

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April 23, 2006

総務省のパンフレット

 土曜日にQSLカードを近所のハム屋に持って行くと、総務省が発行した「ご注意ください!!FRS・GMRSを日本国内で使用すると電波法違反になります」というタイトルのパンフレットが置かれていたので、一部もらってきました。ここにも過去2度に渡って取り上げましたが、アメリカ国内用として中国本土で作られているこれらの無線機は、アマチュア無線並の高出力で更に日本では業務用に割り当てられている周波数を使用する無線機であるため、従事者免許の有無に係わらず日本では使用することを許されない無線機です。更にハンディ機という特性ゆえに、アンテナが付いた状態で所持していることは、たとえ受信専用だと釈明しても「ただちに電波を発射しうる状態」と解釈され、電波法第4条に違反する「不法開局」の罪に問われることになります。ではなぜこんな物が世の中に出回るかというと、いつの時代でも「免許が不要で電波が遠くまで届く無線機」の需要が常にあるからという理由のようです。ところが免許が不要である事と電波が遠くまで飛ぶということは相反する条件で、今の日本で入手可能な免許不要の無線機というと「特定小電力無線機」という出力10mWのハンディトランシーバしかありません。特定小電力無線機は混信対策上「ラジオマイク」(コンサート用ワイヤレスマイク)と同等の出力しかなく、連続送話3分という制限がありますので、「遠くまで飛ばない・頻繁に会話が途切れる」ことを好ましく思わない需要層を狙って中国のOEM元から業者が持ち込んだのがこのFRSおよびGMRSでした。当初は電波法を認識せずにこのような違法機をディスカウント店を中心に流していたのでしょうが、その後各地の総合通信局から販売店に警告が入り、おそらく現在ではFRS・GMRSを平気で店頭に陳列して販売しているところは「少ない」と思われますがどうなんでしょうか?無線機は販売するに当たって「免許が必要」であることの説明が義務とされているはずですが、その必要がないインターネットで大量に販売されるようになりました。なにせ2台セットで特定小電力無線機よりも圧倒的に安価で電波の飛びも比較になりません。FRSで特定小電力無線機の50倍の出力、GMRSで実に500倍の出力を持つものもあります。そのために「使用することによって電波法違反の罪に問われる」事を隠蔽していまだにネット上で大量に取引されているために、本人が知らないうちに犯罪者にされている例が留まるところを知りません。違法市民ラジオ、いわゆるトラックの違法CBやアマチュア無線機を免許無しで使用することを「犯罪」と認識しないで使用している人は皆無だとい思いますが、このFRS・GMRSは使用している人の殆どが違法という認識がなく使用している事が問題です。近所のハムショップにもFRSを持ってきて「これの予備のバッテリをくれ」と月に何人かがやって来るそうです。総務省では「日本国内で使用した場合は、本人の意識の有無に係わらず電波法違反となり、処罰の対象になります」とはっきり明示しております。
 最近ネットオークションでもやっとオークションストアにおいて「FRS・GMRS」が○禁ワード入りしたのか、このワードでの検索に引っかかるタイトルが少なくなりましたが、「米国製無線機」や「○トローラ、○ッドランド製トランシーバ」として相変わらずネット上に大量掲載されている事実には変わりありません。また売る方は説明の片隅に「電波法を守って使用してください」「お使いになる地域の電波法規に従って使用してください」「法規など各自お調べの上、落札下さい」などの言葉が一般の人間には目立たないように書かれており、これを持って「販売する側の責任を回避」しているようですが、明らかに国内で使用することの違法性を認識しながら国内に大量に流通させることは、使用する側にまったく違法性を認識させないということで、昔の違法CBよりも販売手口が悪質だと言わざるを得ません。「大勢が使うことにより、大量の犯罪者を出すことの社会的な問題からこれらのトランシーバが黙認される可能性」はまったくの「No Way」です。
Frs


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