August 03, 2006

ケネリ・ヘビサイド層

 8月も過ぎて梅雨前線が何と北海道の北端あたりに掛かっているというのですから、日本列島沖縄から青森まで梅雨明けしたのがわかろうものですが、その影響かどうも今週はEs層によるハイバンド伝搬がはかばかしくありません。とはいえ、21メガ辺りは時間によって1エリア近辺が強力に開く時間があるものの、その時間も短くなり、8から聞くと6エリア九州の末端から3エリアあたりまでと韓国内がいっしょに聞こえることが多いみたいです。JAIAアワードのカードも追加がなさそうなので一応終了し、まもなくまた4アマ養成講習が巡ってくるので、一応復習がてら無線工学の見直しをやってましたが、しばらくやっていないとE層発生高度やF層発生高度、E層・F層の日変化・季節変化・サンスポ増減との相関関係なんかが曖昧になってしまいました(^_^;) 4アマの養成講習には電離層の性質を問う問題は見当たらず、2アマ試験あたりのB問題の穴埋めに出てきそうな問題ですが(笑)このうちD層に関しては1次減衰なんかで取り上げられるくらいで、アマチュアの短波帯伝搬に関係ないからか、あまりアマチュアの無線工学解説には出てきませんが、E層は「ケネリ・ヘビサイド層」F層は「アップルトン層」なんて呼ばれることがあるようです。
 この電離層の存在という概念は1902年にアメリカのケネリーとイギリスのヘビサイドの2人がほぼ同時に予言しその存在と高度を実験によって証明したのがイギリスのアップルトンなのです。そのためケネリ・ヘビサイド層として存在が仮定されていた電離層はアップルトンによってE層と名付けられましたが、これはアップルトンが上空に向かって垂直にいろいろと周波数の異なる電波を放射し、反射してくる電波の電界強度「E」を計算しているうちに自然にE層と命名したとアップルトンがデリンジャー現象の発見で名を残したアメリカの物理学者ジョン・ハワード・デリンジャーに送った手紙の中で明らかにしています。又、アップルトン層とも言われるF層はE層の外側にその存在を発見したためにF層と名付けられ、D層はE層の下に発見したためにD層とし、最初からA層〜C層はなかったということは以前にも書きました。
 さて、最初に電離層の存在を発見した1人であるオリバー・ヘビサイドはエジソン同様に正規の教育を受けていなかった一介の「電気技師」だったのにもかかわらず、電気の諸現象を数値計算によって証明しようとした能力がエジソンとは基本的に異なります。また、回路のインピーダンスの概念や、1アマの工学には係わってくる複素数「i(電気の世界ではj)」の使用、またラプラス変換による微分方程式の解法、ヘビサイド定理、ヘビサイドの階段関数など、すべて独学であみ出したようです。交流をベクトルという概念で解析したのはこのヘビサイドですぜ(^_^;) ヘビサイドがいなかったら1アマ試験に複素数もベクトルもなかったのでしょうが(笑)
 ホイートストンブリッジで有名な物理学者のチャールズ・ホイートストンの甥なのにもかかわらず、なぜ高等教育を受けられずに一介の電気技師として独学で電気物理を学ばなければいけなかったかは、エジソンと比べて殆ど伝記的な資料が見当たらないために当方もよくわかりません。ただ、1912年のノーベル賞候補にもノミネートされたのにも係わらず、イギリスでは「単なる1人の技師のたわごと」以上の評価を上司から受けずに、最後まで貧乏な技師で生涯を終えたことは、島津製作所の一介の技術者でありながらノーベル賞を受賞した田中さんとは正反対の人生だったようです。

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February 25, 2006

寄生虫さん、こんにちは

 料理好きを自認する限りは包丁が使えなくてはいけませんし、魚を一匹出されておろす事も出来ないと「料理が出来る」なんて恥ずかしくていえません。さらにまともに魚をおろそうとするとステンレスの包丁ではだめで、最低鋼の出刃、刺身、鰺切り包丁の3つくらいのマイ包丁を持っていたいものです。ところが最近出刃包丁の出番が無くて、しばらく使わなかったら刃先にうっすらと錆が(^_^;) もっと使わないといけませんが、釣り師ではないので普段は魚の切り身しか買いませんからねぇ(笑)
 日ごろ出番が無い出刃包丁でしたが、スケトウダラを10匹以上もらい、久しぶりに裁くことになりました。どうやら200海里すれすれの所で操業していたロシアと韓国の大型底引き網漁船が姿を消して、昔のようにスケトウダラの資源が戻ってきたようです。こんなにスケトウダラをもらっても消費のしようがないのですが、今の季節、蝦夷の国では昔から棒ダラ作りが行われ、頭と内臓を落としたスケトウダラの尻尾をひもで結んで野外の竿に掛け、凍る融けるを繰り返すことで寒天作りのようにフリーズドライとなって水分が抜け、保存に耐えるものになるのです。いにしえは米の取れない蝦夷の国の重要な交易品で、北前船によって昆布などと共に関西に送られ、関西では棒ダラは昆布同様に欠くことの出来ない食材の一つなのでしょうが、北海道では棒ダラ作りはすれども戻して煮付けて食べるなどということは、よっぼど山奥で生魚が流通しなかった開拓地は別として、あまり聞いたことがありません(^_^;) 身欠きニシンはそこらじゅうに生えている蕗といっしょに煮て開拓地のごく普通のおかずだったので、かえって身欠きニシンの消費は多かったようです。棒ダラはカチカチに乾いたヤツを金槌で叩きほぐして、マヨネーズに七味を振りかけ醤油を落として混ぜたやつにつけながら食べるのはけっこう珍味ですが(笑)
 ということで、13匹あったスケトウダラを全部さばくのも大変ですが、覚悟を決めて出刃包丁を振るい頭を落とし、腹を割いて内臓を取り、腹を流水で洗って尻尾の部分にひもを通す穴を開けます。マダラと違ってスケトウダラのタチはさほど大きくないのですが、いわゆるタラコはスケトウダラのメスの卵巣で、福岡名産の辛子明太子もすべて北海道産もしくは輸入物のスケトウダラの卵巣です。5匹ほど裁いたときにどうも腹腔内と肝臓に米粒ほどの白い物体が多数付いているのを見つけました。最初はタチが千切れてこぼれたのかと思ってよく見たら背筋が凍り着きました。なんと引っぱるともぞもぞ動くんです(@_@) 名前は知りませんが、魚に寄生する寄生虫に間違いない。しかし、ここまで大量に寄生虫にたかられた魚にあたったのは初めてです。25倍のルーペで覗きながらピンセットで剥がそうとすると、頭に棘というかそういうものがある口でしっかり食いついていて、なかなか剥がれようとしません。急いで内臓を取って腹腔内の米粒ほどの寄生虫をピンセットで剥がし、水道で腹腔内をよく洗いますが、この米粒みたいな寄生虫は調べるとニベリニアという名前の寄生虫らしいですな。このニベリニアだらけのスケトウダラにはアニサキスもいて、さらにまな板の上にこぼれた内臓片に混じってエノキ茸のような長さ3センチくらいの白い物体がこぼれていたので、ルーペで観察すると、何と生きたサナダムシちゃん(^_^;) アニーちゃんにはよく巡り会うけど、生きたサナダムシちゃんに遭遇するのは初めてです。ルーペで覗いてわかりましたが本当に節に分かれているんですねぇ。この魚に寄生するサナダムシは日本海裂頭条虫というものらしいです。日本人のサナダムシちゃん感染例としては一番多いもののようですが、元東京医科歯科大の藤田紘一郎せんせによるとあまり人間の体内に入っても非道い悪さをするものではなく、サナダムシの抗体が体内に入ることによってかえって花粉症などにかかりにくいなどという研究成果があるようですが、藤田せんせみたいにこのサナダムシちゃんを飲み込む勇気はあたしにはありません(笑)この魚にいる3センチくらいの幼生の状態をプレロセルコイドというらしく、これが人間の体内に入ると2メートルから9メートルまで成長するそうです。どちらにしてもこれらの寄生虫は本来クジラやイルカという海棲ほ乳類や鮫などを終宿主とし、それらの小腸に寄生するもので、寄生虫卵がこれらの糞とともに水中に放出され、それを取り込んだプランクトンを小型の魚が補食し、その小魚をより大きな魚が補食し、その魚をクジラやイルカが食べるというサイクルを繰り返しているのです。そのサイクルの途中で人間が魚を横取りすることによって人間も感染するわけですが、それらの寄生虫は人間の体内で繁殖出来るわけではないために、寄生虫にとっても人間の体内に取り込まれることは迷惑な話なのでしょう。さて、米粒ほどのニベリニアですが、腹腔外にこぼれ落ちたニベリニアがスケトウダラの鱗の付いた皮膚に食らいつき、ピンセットで剥がそうとすると、カギのような口吻で鱗をくわえ込んだまま離れようとしないそのしたたかさを見て、こいつらはもしかしたら、元々地球外生命体だったんじゃないかと思えてきました(^_^;)

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